第17話

「なら、ここで良いよ」







「はぁ......もうなんですか......」







「あの時の事さ、謝りたい」







 俯く彼に私は言葉が出なかった。







 怖いとか悲しいとかじゃないムカついたからだ。








「良いですよ、許します」







「そんなあっさり言うなんて、怒ってる気持ちは分かるよ......でも俺の謝罪を無下にはしないで欲しい」







 ほんと、勝手な男だ。







「別に怒ってませんよ、謝罪もいりませんから目の前に現れたないでください......一生。あの時もそうお願いしましたよね、って言うか何勝手に理由付けして逢いに来てるんですか」







「そりゃ、駄目だって言われても好きだからさ会いに来るよ」







「はぁ......よくもそう簡単に愛を囁けますね」








「俺はずっと前からよく見られようと表現してるつもりだった」







「私にしてきた事のあれですか?」







「うん、そうだよ」







 ほんと、ありえない。






「人間1からやり直した方が良いですよ」








 本気でそう思う。






 だってこの男、根っからの凶器だから。

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