第37話
学校からの帰り道、電車を降りてスマホを触っていた会長。
「かすみちゃんのお母さんが、晩ご飯、家でどうぞって。
あっ、写真も送ってくれた」
ほら、と見せてくれたのは、夜空に浮かぶ花火の下で、浴衣を着た小さな男の子と女の子が手を繋いでいる後ろ姿の画像。
「かすみちゃん三歳、俺が五歳だって」
「これ、私と会長?」
「会長?」
「じゃなくて、しゅ、柊君」
私が会長と呼ぶたびに、名前で呼ぶように注意されているけど、まだ慣れなくて恥ずかしい。
「これ、何となく覚えてるよ。かすみちゃん、確か花火の音にビックリして泣きだしたんだ。でも、花火を目にしたら泣き止んで、一生懸命空を見上げてたんだよ」
――っ!
あの時、手を繋いで大丈夫だよって言ってくれたのは健人じゃなかったんだ。私ったら、大きな勘違いをしていた。
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