第30話

「あの、もっと離れて歩きませんか?」


電車を降りると、同じ学校の生徒も多くなってきた。


私が会長と一緒に登校していたら、みんなに何て言われるか。

余計なトラブルは避けたい。


「どうして? 迷惑だった?」


少し不安そうな顔で私を見る会長。


「いえ、そうじゃないんですけど……」


あちこちから視線を感じて、周りに目を向けた。


「俺が誰と一緒にいようが自由だよね。好きにさせてほしいな」


周りにも聞こえるような声でしゃべる会長に、私は何も言えなくなる。


考えてみれば、元々友達なんていなかったし、生徒会の仕事を手伝ってるって知られてから、一部の女子から陰口を叩かれたり無視されたりしている。今と何も変わらないのかもしれない。


「もし何かあったら、すぐに言うんだよ。俺が何とかするから」


「はい」


会長だったら、本当に何とかしてくれる。

大丈夫だって、何の根拠もないけど、そう思えた。

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