第20話
「あ、あの……」
「ん?」
「奈緒ちゃんと、結婚するって本当ですか?」
「えっ……それ、奈緒から聞いた?」
穏やかだった会長の表情が急に曇った。
「は、はい」
やっぱり聞いちゃいけなかったのかな。
「じゃあ、僕らが本当の兄妹じゃないってことも、聞いたんだね」
「はい……」
「でも、今まで本当の兄妹として育ったんだよ。少なくとも僕はそう思っていた。それなのに、奈緒と結婚? 考えられないよね」
「だったら……」
「奈緒の受験のやる気になればって、父さんに頼まれたんだ。僕も飽きっぽい奈緒のことだから、すぐ気も変わるだろうって思ってた。でも、最近では父さんも、奈緒と結婚して自分の会社を継いでくれって、すっかりその気になってしまって」
「それでいいんですか?」
「よくない。よくないけど……今まで育ててもらった三浦家には恩があるから、それに……」
一瞬苦しそうに顔を歪めた会長だったけど、すぐに穏やかな表情に戻った。
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