「それじゃあ、君にはお礼として、これからも昼休みにここ使ってもいいよ」

私の頭の中を読んだような提案に、思わず顔がほころぶ。

「奈緒はその時間、来ないようにさせるから。あいつ、君にはずっと態度悪かっただろ。何度か注意したんだけど、聞く耳持たなくって」

「知ってたんですか」

奈緒ちゃんが、お兄ちゃんは何でも言うことを聞いてくれるって言ってたから、注意までしてくれてたなんて意外だ。

「僕がいなければ、奈緒も来ないからね」

えっ、それって、お昼休みに来ても会長には会えないってこと？　

嫌だ。そんなの嫌っ。

嫌？　なんなの、この気持ち。

私、いつの間にか会長に会えるのを楽しみにしてた？

でも、会長は奈緒ちゃんと結婚の約束をしているのに。

こんな気持ち持ったらいけないのに。

それにしても、会長の本当の気持ちはどうなんだろう？　

聞くのは、今しかないよね。

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