第6話

「それより、手伝ってほしいことがあるんだ」


「……?」


「書記の子が、手首を骨折しちゃってさ。しばらく使い物にならないんだ。代わりに手伝ってくれる子を探してたんだけど、やってくれるよね」


「えっ、私? 書記?」


どうして私が? 


会長の手伝いをしたいって子はいくらでもいるでしょ。

声を掛ければ誰でもやってくれるんじゃないの?


「うん、どこかのクラスの委員長にでも頼もうと思ってたんだけど、眼鏡に二つに結んだ黒髪、いかにも真面目そうな子に出会ったから。字も綺麗だし」

と、ポケットから取り出したカードを自分の目の前にかざす会長。


「手伝ってくれるなら、返してあげる。それに、昼休みにここ使ってもいいよ。お弁当食べるのも自由にしていいから」


わあ、それはありがたい。

というか、屋上でお弁当食べてたの、気付いてたんだ。


これから暑くなるし、雨の日もあるし。


「お手伝いします」


「よかった。さっそくだけど、明日の会議で使う書類を作ってくれる? ひな形はあるから」


会長が中央のテーブルにあったノートパソコンを起動させた。


これって……パソコン使うなら字の上手い下手なんて関係ないよ

ね。


「何?」


「いえ……」


パソコンが得意というわけではないけど、一度引き受けてしまったものをやっぱりやめますとは言えない。


指示に従って、パソコンに向かった。

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