第7話

「お兄ちゃん!」


バタンと勢いよくドアが開く音と同時に、聞き覚えのある声がした。


「ノックしろって、いつも言ってるだろ」


隣で書類に目を通していた会長が冷静な声を返す。


「誰、その子」


ひっ、凄い目で睨まれてる。


「生徒会の仕事を手伝ってもらってるんだ。静かにしてくれるか」


「もう帰っていいよ。奈緒が手伝うから」


彼女に腕を取られて無理やり立ち上がらされた。


「奈緒こそ、先に帰れって言ったのに。こういうの苦手だろ」


「そんなことないもん」


私に代わり、パソコンの前に陣取った彼女は喜々として手を動かし始める。



あ~あ、私って完全に邪魔者だよね。


それに、昨日のイチャイチャを思い出して気まずくって仕方ない。目にしたのは抱き合ってる姿だけど、キスもしたのかな? 


で、でも、兄妹だよね、この二人。

うわ~、ダメだ。勝手に妄想が広がる。

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