第26話

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終わりから、数年後。


秋のことだった。






1人の男性が、路上で足を止める。

とあるストリートミュージシャンの声に惹かれてのことだった。



直『あなたは…』

藤「…え?」



夜の片隅に置かれたギターケース。


見間違うわけない。

あの頃とは違う種類の、でも根底に流れるものは変わらない、抗えない香りをまとった人。



直『うそ…ほんとに?』

藤「………」



触れたくて、でも信じられない気持ちで。

偶然と呼ぶにはあまりにも運命を感じてしまう。


思い浮かべるだけで息が詰まるような、でもあの別れ以来、声を聞くこともかなわなかった人。



直『お酒…、やめたの?仕事は?』

藤「…今は、ギターだけ」



少ない言葉。磁石のように、吸い寄せられるように、どちらからともなく抱き合った。


おまえはいくつになってもきれいだな、という声が聞こえた。





藤「由文…」

直『…藤くん…』





3度目の出会いの先にあるのは、希望か。


それとも、2人以外を排除した絶望の楽園か。




決めるのは、ただ人の心のみ。
















【了】

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