第25話

………。

………。

………。

………。



ついに、誰1人として言うべき言葉を見つけることが出来なくなった。

沈黙が合図だった。



藤「…またな」



立ち上がった藤くんが、それだけ言って出て行く。

秀ちゃんとヒロも、それに続いた。


次がないことは、4人とも痛いほど分かっていた。




1人でも残ってくれたら、俺は全てをその相手に委ねて、抱きついたかな。


でもそうしたらきっとまた、同じ罪の意識に囚われていただろう。

出口のない天国に閉じこもったまま、後ろめたさを隠して無限の幸せを演じ続けることになっただろう。

そして、相手も同じ泥沼に…




俺のことをきれいだと言ってくれた藤くん。

最後まで俺の気持ちを尊重しようとしてくれた秀ちゃん。

友達として、俺をずっと見守ってくれてきたヒロ。




立ち上がることも出来ず、3人が出て行くのを見送ることすら出来ず、別れの時間はあっけなく終了した。


ドアが閉まる寸前、かすかに聞こえてきたのは、「誕生日おめでとう」という声。




あぁ、そうか。


…誰だよ。






頼む。


もう、俺のことは忘れてください…。

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