side升

第6話

――あぁっ…

――はぁ…、はっ…



珍しく酔っ払って俺のもとへ現れたチャマは、さらに珍しいことに、その勢いのまま抱きついてきた。



――ん、ぁ、ああ!ひでちゃっ…

――何…もう、かよ?



何だろうな。最近、こいつから求めてくることが増えたような気がする。

何かきっかけになるようなことはあったっけ?



――あぁ、はぁ…ごめんっ…!!

――チャマ…!!



無心に純粋に、没頭するような行為。

全身を上気させているものの正体は、酒か、それとも別の何かか。









高校の同級生が集まる飲み会だと聞いて軽い気持ちで行ってみたら、意外に大規模な宴会で驚いた。

同窓会というほどではないが、数十人はいたと思う。


卒業してから何年も経っている上に、ほとんど喋ったこともないようなやつらもいたことを考えれば、さぞかし幹事の面々は苦労したことだろう。

ふりそぼる雨が、やけに冷たく感じられる日のことだった。



直『秀ちゃん、俺あっち行ってくるわ』

升「あぁ」



チャマが同じクラスだった仲間たちの輪に加わった後、俺はしばらく1人で飲んでいた。

目にとまったのが藤原だった。


同い年のはずなのにやけに世慣れた様子で、酒の席が似合う男になっていて、女性陣からの熱い視線も変わらず、でもそれが不思議と嫌味に思えない。

そう。昔からどこか浮き世離れしてるくせに、人好きのするやつだった。



藤「おまえ…、直井か?」

直『…藤くん?』



周りの連中の噂では、藤原は夜の仕事でかなりの売れっ子だとか。なるほど、言われてみればそんな感じだ。



藤「今、どうしてんの」

直『どうって…働いてるよ、普通に大学出て』



なんで今さらチャマに話しかけるんだ。

なんでチャマはそんなぎこちない態度なんだ。



直『ごめん秀ちゃん、先帰ってて?俺、ちょっとだけ二次会に顔出してくるから』









―――深夜のベッドで上半身を起こし、隣で眠るチャマの頬に涙の痕跡を確かめる。



升「また同じことを、繰り返す気か…?」



…俺は痛いほど知ってる。

俺とこんな関係になる以前、あいつのせいで、チャマがどれぐらい泣いていたかを。

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