第24話

益田好次をはじめとする大勢の人間を殺し、隠し子とはいえ実子の首をとって見せしめにしようとした立花宗茂を、おそらく四郎は一生許さないだろう。


それでも彼は生きていく意志を固めた。




直『そういえば藤くん、今は何て名乗ってるの?益田四郎はさすがにまずいでしょ?』


藤「あぁ…そうか」


升「あらためて聞かれると困るな」


藤「これまでは升と2人だけで暮らしていたから、そんなに名前で困ることはなかったな」


増「そっか」


直『うーん』


藤「…藤原とでも名乗ろうか」


直『へっ?』


藤「益田は駄目、立花や大友はもっと駄目…となれば、あと馴染みがある名字は一つだけだから」


増「…本物の藤くんになるってこと?」


升「安易だな」


藤「何だよ、元はと言えばおまえが呼び始めたのがきっかけじゃないか」


直『そんな子供の頃のことで責められても困るしぃ』




もう大丈夫だから。

血縁はなくとも、家族ではなくとも、共に生きる仲間がいるから。




増「ところで、さっきから気になってたんだけど…その着物ってあの時取り替えたやつ?」


藤「いっ…な、ち、違う!!」


升「正解(笑)」


直『藤くん焦りすぎ(笑)』


升「こいつ、みんなが思ってる以上に未練たらたらで、おまえらのこと好きなんだなぁと思ったよ」




ただ生きていこう。

夢はなくとも、明日への展望もなくとも。




増「大変だったねぇ。升、今までずっと1人でこの人の相手してたの?」


升「…おかげさんで」


直『ご苦労さま!これからは3人で交代でやろうね!』


藤「う、うるさい!」






それでも、人生は続く。

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