序
第1話
西暦1970年代半ば。
ポルトガルの首都リスボンで、とある手書きの文書が見つかった。
表題は「Esperanca」。
筆者は不明だが、17世紀前後にアジア交易に従事した貿易商と推測された。
文書そのものはもちろん、記された言葉や内容もひどく古かったため、読み解くにはかなりの年月を要した。
やがて現代版として書き改められたそれは、歴史的価値のある資料として日本へ引き渡されることとなる。
舞台は1600年代前半の九州地方。
まだ完全に鎖国を完成させる前だった江戸幕府が、長崎などでわずかに異国との交流を持っていた頃の記録だ。
当時、九州には大友という武士の一族があった。戦国時代には大友宗麟を輩出したことで有名である。
その大友の庶流の一つに、立花があった。
この家は何といっても、「東に本多忠勝、西に立花宗茂あり」と謳われた名将・宗茂が有名だろう。
関ヶ原の戦いで西軍に属したため改易処分となるも、その後大阪の陣での働きが評価され、1620年に旧領復帰。
70歳を超えてもなおその勇猛さは衰えず、死の直前まで「往年の宗茂あり」を見せつけていたと伝えられる。
なお大友氏は、平安時代に摂関政治で名をはせた藤原氏を祖とする、とされている。
【Esperanca】
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