第66話 Sランクダンジョン

 男達の死体を見下ろしながら、これからの対応を考える。〈猛進の拳鬼〉のマスターは、コイツらに俺を連れてくるように命じたわけだから、コイツらが帰ってこないとなると、俺を疑うだろう。


 そうなった時、マスター自ら━━━または、コイツらより強い部下を寄越してくる可能性がある。


 〈猛進の拳鬼〉に加入する気は一切ないので、それは面倒だ。だから、こちらから直接赴き、強引な勧誘と加入の意思がないこと、関わらないでほしいと伝えるべきだ。


 「ただなぁ…こんな奴等ばっかりだと、話し合いなんて無理そうだし、大乱闘になりそうだなぁ」


 そんな事態を想定すると、赴くのはマズイか。コイツらが俺にられたのは明らかだが、明確な証拠がない。


 問いただすために部下を寄越すだろうが、手荒な真似をするようなら同じように対応すれば、戦力の低下を考慮して、自然と不干渉になるんじゃないかと思う。


 希望的観測もあるが、結論こちらからアクションは起こさない。


 方針が決まったところで、男達の装備や所持品には手をつけず、その場を後にした。


♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢


 港区にある国内唯一のSランクダンジョン。四つのクラン━━━〈剣王キング・オブ・ソード〉〈猛進の拳鬼〉〈炎帝軍団イフリータ・レギオン〉〈全癒の戦乙女〉が交代で攻略しているが、未だ攻略に至っていない。


 そんな最高難易度のダンジョン前で、一人の青年が入場手続きを行っていた。


 「…本当にお一人で挑戦するつもりですか?」


 「はい。本部の職員にも同様に心配されましたが、一度挑戦してみるつもりです」


 「…意思が固いようなので、これ以上は何も言いません」


 「では、失礼します」


 入場手続きを終えて、足早に入口を潜る。


 目の前に広がるフィールドは、遠くに断続的に溶岩が噴き出る火山があり、周囲は亀裂が走るゴツゴツした地面で、亀裂の中を溶岩が流れている。


 そして、視線は自然と上空に向き━━━


 (あれがフレイム・ワイバーンか…)


 真っ赤な竜鱗に覆われた50メートルほどの巨体、前肢と一体化した一対の大きな翼、時々口から炎を吐き出す魔物。


 一匹で大都市を焼け野原にできる災害級の魔物が、数十匹は上空を飛翔している。そしてその脅威度は、Aランク上位━━━Sランクに近いハンターのパーティーですら、苦戦するほど。


 慢心を捨て短剣を抜くと、一匹のフレイム・ワイバーンと目が合う。


 「油断はしないが、できれば損傷の少ない状態で討伐したいな」


 亜種とはいっても、竜種は竜種。素材は超希少なため、綺麗な状態で売却したいところ。


 そう思っていると、目が合っていた奴に動きがあった。

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