何話せばええの?

島尾

仕事場の人

 今日、ロッテリアの一番奥でテリヤキバーガーと芋と抹茶パイを食べた。芋を食べていたとき、Iという同じ仕事場の人と偶然隣の席になった。最近私はガラリと服装を変えたので、私だと気づかなかったのだろう。または、すでに満席に近い状況だったのでそこしかなかったのだろう。

 私は3つ質問をした。しかし、どれも5秒で会話が終わる内容である。それは会話と言えないので、私はその人としゃべらなかったに近しい。私はチャンスを逃した(その苦々しい出来事を具現化するため、今まさにタリーズ店内のソファに座ってエスプレッソのドッピオを頂いている)。


 何を話せば良いのか分からない。

 もし、仕事という共通の作業をしていれば、何一つ気まずさを感じない。その人はよく仕事中に泣くので、泣かさないための方法を考えて実行するのが私の趣味だ。しかも結局その人は泣く。このように、私は仕事場においてIさんと関わることに何も抵抗がない。

 しかしプライベートでは、気まずさしかなかった。もし私が同じ仕事場のS君であれば、まったく無意味な質問を連発したと思う。しかし私は不運にも私でしかなかった。

 Iさんから話しかけてくることはないと知っていた。仕事場で、箱にガムテープをうまく貼れないから泣いたような人だ。だからというわけではないが、イメージ的にどうしても向こうから話しかけてくることを期待できないのである。よって私が何か話しかけるしかなかった。実際、なぜそんなに泣くのか、その心理変化を尋ねたかった。そして、手始めに「Iさん最近自転車来ないですね」という質問をした(私の職場では自転車の組立作業を、その現場に赴いておこなっている)。それを導火線とし、最終的になぜ泣くのかを聞き出したかったのだ。だが、そんなことをできるだろうか。どう考えても失礼である。また、「あなたは道端で大きな声を出す人をどう思いますか。ただしその人は知的障害者です」という問いを投げかけようとも思った。しかし、それを聞く勇気がなかった。本当に聞きたいことが2つあったわけだが、それを聞くにはあまりにも関係が薄いということが判明した。

 ただ無言の時が流れていた。気まずさは、赤の他人とくらべて10⁹倍はあっただろう。

 それにも関わらず、私は同じことが再び起きることを期待している。次はうまくいくと思っているのだ。その楽観的な態度を取っている自分は、いったい何者なのだろうか。次はうまくいくと思いつつ、冷静に理屈で考えるとうまくいく根拠が無い。


 元々喋りが苦手なので、いっそ何も話さないほうが楽だとも言える。しかしそれはつまらない上、その人のことを少したりとも深く知ることができないことを意味する。私にはそういうことが耐えられないのである。


 先ほどエスプレッソを飲み干した。ぬるくなっていた。碗の内側に濃ゆい茶色の点が付着し、乾き果てている。

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何話せばええの? 島尾 @shimaoshimao

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