第8話【AIのターン】ルンルン気分で作っていたカレーを台無しにされた魔王様の運命やいかに。

「おおおおおおおおお!!!」  魔王様の絶叫が夕暮れの空に響き渡った。 「われの、われのかれーがぁぁぁ!!」  肩を震わせ、目に涙を浮かべながらカレーの残骸を見つめる魔王様。 「ふふっ、泣け、喚け、恨め! これぞ宵闇の悪魔たる僕の力!」  イケメンはドヤ顔で言い放つが、俺はそんなことより鍋の底にこびりついたカレーの欠片に涙目だった。 「くそ……せっかくじっくり煮込んだのに……」 「よし、ゆっきょ! やつをぼこぼこにするのじゃ!」 「うん、言われなくてもそうするわ」  俺は静かに立ち上がると、イケメンを指差した。 「お前……よくも俺たちの晩飯を!」 「な、なんだと?」 「その罪、万死に値する!!」  俺の怒気に圧倒されたのか、イケメンはわずかに怯えた表情を見せる。

 その瞬間、俺は全力で地面を蹴った。

 ズガァァァン!!

 地面に巨大なクレーターを残しながら、俺はイケメンの眼前に一瞬で迫った。 「はやっ!?」 「デコピン」 「え?」  俺は優雅に人差し指を構えると、イケメンの額に軽く弾いた。

 バシュウゥゥゥン!!!

 イケメンは光の速度で吹き飛び、地平線の彼方へ消え去っていった。

「ふぅ……」 「さすがゆっきょじゃ!」  魔王様が拍手を送る中、俺は深いため息をついた。 「けど、カレーが……」 「うむ……われは、かなしぃ……」  肩を落とす俺たち。

 しかし、その時。

「ま、待たれよ!」  どこからともなく声が響く。見上げると、先ほど吹き飛ばされたはずのイケメンが、ボロボロになりながらも飛んできた。 「お、おのれ……こ、今度こそ……!」 「は? また来たの?」 「おう、もう一回デコピンしたろか?」 「……ぐぬぬ、だがこれを見ても同じことが言えるか!?」

 イケメンはそう叫ぶと、空中に黒い魔法陣を展開した。

「出でよ、暗黒龍ガルムドレイク!!」

 魔法陣から巨大な影が現れる。禍々しい翼を広げ、口から紫色の瘴気を漏らす黒竜。その姿に、魔王様が思わず声を上げた。

「おおー! かっこいいやつじゃ! われもほしいのだ!」 「いやいや、欲しがるな」

 イケメンは高笑いをしながら指を差した。 「これで貴様らも終わりだ!」 「……なぁ、ガルムドレイクって食べられるのかな?」  俺は真剣にそう呟いた。

「え?」

「カレーの具材、足りないし」

 魔王様の目が輝く。 「ゆっきょ、われもたべたいのだ!」 「よーし、決まりだな!」

 こうして俺と魔王様の夕飯争奪戦が始まった。

「貴様ら……人の召喚獣を食材扱いするなぁぁぁ!!」

 しかしその叫びもむなしく、俺はガルムドレイクへと駆け出した。 「待ってろよ! 今夜はドラゴンカレーだ!!」

 果たして、俺たちは無事にカレーを完成させることができるのか!?

 次回、「怒りのドラゴン! カレーの行方と男の涙」!  乞うご期待!!

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