第24話 ペルレ市(1)
ペルレの街の外壁を
「私達はまず、宿を探そうと思いますが、
アリスさんはこれからどうされますか。」
「あっ、私この国のお金使い切っちゃったから、宿にも泊まれないな。
どうしよう。」
潤んだ瞳でこちらを見つめてくるアリス。分かります。
「高い所は無理ですが、助けて頂いたお礼に宿代くらい私が出しますよ。
それにアリスさんの倒したトロールの素材を売れば、お金になるでしょうし。
とりあえず宿を探しましょう。」
俺達は外壁の門の近くに『幸運のブーツ亭』という宿を見つけて投宿した。まあ、門の近くには俺の様な街に物資を運んでくる商人や御者用に、馬屋や馬車用の納屋を備えた宿が集中している。ちなみにこの辺には『幸運』シリーズの宿が多い。『幸運の荷車亭』とか『幸運の車輪亭』とか。まあ、ダンジョン都市という土地柄だろう。
その中から宿代が1泊銀貨26枚(2万6千円)1日2食付きの宿を選んだ。内訳は俺とヴァルブルガの2人部屋が銀貨10枚、アリスの1人部屋が銀貨7枚、馬屋と納屋の使用料が銀貨9枚だ。
軽く部屋の中も見たが、それなりに清掃もされていて、ベッドが湿っていたり埃っぽい事も無い。まあ、2人部屋が6畳、1人部屋が4畳くらいで狭いもんだが。ちなみにこの宿はこの辺の他の建物と同じく木造5階建てで、地震でもあれば1発倒壊しそうである。
例によってクルトは巨体さ
高い宿ならガッシリしているが、今度は風体から泊まれない可能性もある。冒険者用の宿なら安宿でも泊まれるのだろうが、物が無くなりそうだし、馬屋や納屋が無かったりで俺達には向かなそうだ。
さて宿は決まった。ここからアリスはどうするだろう。俺はヴァルブルガを伴って1人部屋にアリスを訪ねると、銀貨が5~60枚(5~6万円)詰まった麻の小袋とトロールの素材が詰まった麻の大袋を手渡す。
「アリスさん、これは少ないですが助けて頂いたお礼です。それから商人でないアリスさんがトロールの素材を
私達はこれからクルトを治療院に連れていって、それから積み荷を
また夜にでもこの宿で会いそうですが、アリスさんのこの街でのご活躍をお祈りしていますよ。」
「あっ、そっかぁ~~~、ここでお別れですね。
じゃあ、レンさんもお気を付けて。外套ありがとうございました。」
そう言うとアリスはそそくさと宿を出ていった。あっさりしてるけど、変に縁が濃くなるよりこれくらいの方がいいよな。
俺は今後の事をちょっと考えてから、宿の受付でこの街一番のレストランの場所を聞き、クルトを納屋に残すと、ヴァルブルガとロバのメリーさんに
ちょっと順番は逆になったが、クルトには留守番をしてもらう事にした。
「ご主人様、アリス殿とはあっさり別れて良かったのか。
アリス殿を気に入っていたようだし、ダンジョンに入るなら彼女に一緒に来てもらった方が良くはなかったか。」
「アホか。あんな戦力、俺じゃ雇えねぇ~よ。
それにダンジョンに入るかは、これからこの街での情報次第だしな。」
「そんなモノだろうか。
アリス殿はそれ程がめつくはない様だったし、しばらくなら一緒に居られそうな雰囲気だったが。」
「あのな、人間ってのは1人いるだけで一日一日金が掛かるんだよ。
まだ俺は使うか分からない人間を抱えておける余裕は無い。
もし、何か目途が付けばその時、声を掛ければいいさ。友好的に別れたんだし。」
「そうか。ところでこれからご主人様は街一番のレストランで昼を食べるのか。」
「いや、そうじゃない。」
俺は宿から教えられたレストランに行くと、料理長を呼び出して林檎の買取を持ち掛けた。果物が不足しがちな中、俺達が持ってきた量なら、大きな店なら
それから宿に戻って空の荷車を納屋に置くと、今度はクルトを連れて治療院に行った。治療と言っても魔法的な手段で回復させる訳ではなく、傷薬を塗ってお終いである。
なぜ、魔法を使わなかったかと言えば、即効性のある魔法治療は金貨(10万円)単位、ファンタジー要素の無い傷薬なら銀貨(千円)単位だからだ。先進治療と保険治療くらいの差か。
すまん、クルト。全部貧乏が悪いんや~。
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