15.この世界の『ソウル』事情[オニュー×ナ×ファッション!]

装備・アイテム案に四日使った馬鹿がいるってよwww!! ……すまんm(_ _)m


『ライムライト・レモネードジャム』の劇中バンド、神曲につき中毒中……作業がはかどるなぁ~(嘘) 

――――――――――――――――――――


 ――少々時間をかけて、『さっき』までやってた武器庫整理を終えた『俺』とサクは、廊下に並べた『使えそう武具の山』を前に、しばし無言で佇んでいた。

 今は、武具にある程度詳しいカーラさんが、自分と俺たちに合いそうな装備を見繕ってくれている――そんな状況。


「――いやいや、ちょっと待て。……今、『武器庫パート』まるごとカットされて始まってないか? 改行を免罪符に、編集点から強引にスタートしてないか、なぁ??」


「は? あ~…………それは、あれだよ……『製作者の都合』ってやつだよ、たぶん。……俺とサクのどうでもいい掛け合いのせいで、尺がヤバいんだよきっと……(適当に合わせる)」


「――なんてことだ……重要なパートだったじゃないか! カラミディアの『右腕の秘密』とか! 深淵堕ちしたヤツらには『光る属性がこうかばつぐん』だとかっ!――」


 サクが、『はっ』と何かに気づいた様子で語り出した。その語り口まるで――『カットされた内容を誰かに伝えようとしている』、そんな感じ。……なんか、メタいぞこの空気。


「――カラミディアがここに来た目的が、『領主の持つ槍』だとか! 『大昔の戦争で人類が絶滅しかけてる』とか!! なんか『シコウシャク?』、とか言う重要ボスがもう三体『討伐』されてるとか!――」


(あ、これはあれか? 『さっきの会話をダイジェストで伝えてる』的な……丁寧だけど、雑ッ!)

(……作業中はずっと俺とカーラさんの言葉のキャッチボールだったからなぁ)


「――『和式の鎧あるんかい!』ってツッコんだり。『この世界鞘ないのか!?』って憤ったり。私が唯一振るえる軽い武器が『木刀』しかなくて、『これでどうやって戦えば――

「ごめんもういいっ! 分かったからッ! いやホントはわっかんないけど、何か必死なのは伝わったから落ち着けッ!」


(マジで誰向けなんだよ今の情報は……)


「――――っ。あ、そうか? じゃあやめる。……レンも、人に頼ってないで着れそうなやつは自分で見つけろよ?」


「あ、キレそう。今の流れを無かったことにする感じにキレそう。律儀に付き合った時間が無に帰ってキレそう俺」


 いい加減ツッコむと、サクは『おっ』という顔であっさり話すのをやめた。早い。切り替えが早すぎる。むしろ怖ぇよ。


「キレるなキレるな。そんな時もある。だって……今を生きてるんだからな」


『しばき倒そうかな?』とも思ったが……返り討ちに合う未来が簡単に見えたからやめておいた。……この尺が必要ないんだろうなぁ。


「ふふ……相変わらず変わった会話をするな二人は――ところで、この『服』なんてどうだろう? 裾を縛れば着れるはずだが」


 前でガチャガチャと探っていたカーラさんが振り返る。その手には、くすんだ白布に金糸の意匠があしらわれた薄手の服が広げられていた。



[≪鷹の軽戦装束≫:かつて風の民と呼ばれる遊撃の古兵たちが着ていた戦装束。極めて軽量でありながら刃に強く、骨格を締めるように着込まれる。民の名は忘れられたが、その装束にはいまだ風の導きが息づいてる]



 それはワンピースっぽい形状の服で、襟元は赤黒いシミで染まっていた。……まぁ、持ち主は『そういう最期』だったんだろう。


「この意匠は……たしか『鷹の兵』と呼ばれる兵団のものだな。『風の加護』を受けし戦士の服だと読んだことがある」


「……ダッサいなおい。いやだ」


「――おぉぉいッ! びっくりするぐらいの本音だな!? 正面から言うか普通ッ!?」


「ふむ、そうか……なら――」


 カーラさんはまるで気にする素振りもなく、次を見繕いはじめる。う~ん、寛容ぉ……。


「サク、さっきのはさすがに遠慮ってもんが――」


「想像してみろレン――パンイチの主人公に倒される敵の気持ちを。それはもう、悔しさと屈辱で死んでも死にきれないはずだぞ――つまりそういうことだ」


「いやどういうことだ」(相変わらず例えがわかりずらい)


「要は、敵だってダサい服着たヤツに殺されたくないだろって話だ。私だって恥をかくようなダサい服は着たくないし」


「……なんか納得しかけたけど、冷静に考えたら全然納得できなかったわ。見た目で決めるなよ(呆れ)」


「機能性がなくても『見た目』は大事だろ! 着たい服着て気分を上げる! ……お前あれだぞ。蛮族スタイルで助けにくる勇者がかっこいいか? 惚れますか? ってことなんだぞ!」


「……前に、『カッコよくても機能性がなきゃおもちゃと一緒だ』って言った人とは思えないなぁ」


「その時にそう思ったんだから仕方ない」


「そっすか。…………あっ、そうだ。カーラさん。武器庫部屋にある使えなくなった武具とかって、このまま放置しちゃうんですよね?」


「ああ、そうだな。このような状態でなければ墓標として弔ってやりたいが……今は手持ちを増やして動きを制限したくない。仕方ないが置いていくしかないな」


 カーラさんが作業の手を止めずに返事をする。


「『弔う』って、他の人もやってることなんですか?」


「いいや、わたし個人のやっていることだ。……正直、あまり褒められた行いではないのだがな」


「ん? 供養だろ? なんでそれがダメなんだ?」


 サクの疑問に、カーラさんが手を止めて静かに振り返る。


「それは――『深淵に堕ちた者』や『異形』、あるいは『墓荒らし』らの手に渡り、利用されてしまうからだ。墓荒らしの多くは生きるため、必要に駆られてと仕方ない部分もあるが、『深淵の者』たちに利用されるのは危険だ。それが壊れていようと関係なく。

 ……私はかつて、『砕けた武具の破片を全身から突き出した異形』と戦ったことがある。あれは、残骸を喰らい自らの体に反映するという厄介な特性を持つ個体でな……。だから、今の世では安易な武器の放棄や供養は褒められた行いではないし、十分な手間――死者に代わり埋葬するといった配慮が必要なんだ」


「......なるほどな。理屈はわかった」


 カーラさんの話を聞き終え、サクが頷く。


「――あー、それ聞いた後で言いずらいんだけど……結果的に、『貰って』も大丈夫ってことでいいですか? ちゃんと『有効活用』しますんで」


「使い道に考えがあればいいのだが……あの数を持っていけるのか?」


「『確認次第』では。……たぶん、なんとかなるかと」


「そうか。なら試してみるといい。持ち主も、その方が報われるはずだ」


「了解っス」


 会話が終わると、カーラさんは作業に戻り、俺は武器庫へ足を向けた。サクが当然のように付いてくる。


「おいレン。ここのガラクタ貰ってどうするんだ? 見た目カッコいいからほしいって理由だったら家計会議だぞ? ――うちにはそんな余裕ありませんよっ!」


「ガラクタて……あと、思い出したかのように最後おかんになるなよ。……貰うって言ったけど、あくまでも『素材にして』って話な。あとは技能の――『説明に書いてない効果』がないかの確認。……想像する効果なかったらマジで欠陥だわ(ボソ)」


「ああ、そんなことできたなお前」


 相づちをうち、俺は入口付近に倒れた大きな武器を『視た』。



[≪壊れた臓喰いの三角槍≫:竜骸被りの狂人、ゼカラの携えた得物。竜の血と臓物に穢れ、灰に塗れた異形の大槍。その穂先は竜の心臓を抉るために三叉に分かれ、姿なき怨嗟にも届くという。しかし今では、二本の穂先が折れ、機能の大半を失っている]



「……毎回思うけど、説明が凝り過ぎてて逆に情報が入ってこないっていうか……どうにかしてほしいよなぁ」


「だな。一行でまとめろ一行で。誰だよ『ゼカラ』」


 そんなツッコミを呟きながら、俺は壊れた大槍に触れ――『素材にする』と意識する。



[〈森羅錬成〉:『



「……『ここ』の演出がちゃんとあるの腹立つなぁ。じゃあ『錬創(あっち)』ではもっと壮大やれよっ、てなるわ」


 サクが呟く。そしてそれには完全同意。

 俺の手元で、触れた槍全体が淡く発光し、蒸発するように解体されていく。そうして残ったのは、『いくつかの素材』だった。



[≪竜骸の穢血≫――素材。【剣魔錬創】でしか加工できない物質。かつて竜であったものの死骸に残された、干からびた臓血。赤黒く、鉄臭さと焼けた臓腑の匂いを放つ]


[≪灰濁の骨鋼≫――素材~。焼け焦げた大竜の肋骨より削り出した金属。濁った灰に埋もれてなお硬さを保ち、竜鱗をも容易く砕く]


[≪怨嗟の声帯核≫――霊の咆哮器官とも呼ばれる希少部位。敵意に反応して震える特性があり、持つ者に、霊体との接触すら可能とさせるらしい]


[≪メテオライト≫――星の怒りが地を穿った際に飛び散った鉱石。わずかに重力波を秘め、触れるだけで体温を奪う希少な石。この星では錆びることがないようだ]



「――うわでたよっ、『液体が瓶に入って出る系』の演出! 納得のいかない現象!」


「確かに、どっから出てきた『瓶』だよ、ってるな。…………なんとなくで聞くと、他にも嫌いな演出ってあるのか?」


「『斬撃を飛ばす』やつとか嫌いだ。魔法剣士でも、魔法関係なく飛ばしたりなんかしたらキレるな。何だよ『真空の刃』って、ふざけてんのかってなる」


「……その心は?」


「心て。はぁ……『剣』を選んだ時点で、ソイツは『間合いを覚悟した』はずだろ? それを裏切って『距離で逃げる』とかダサすぎ。近距離武器や格闘の醍醐味は、『当てるまでの工夫』に価値や面白さがあるんだよ。届かないから踏み込む。それが無理なら頭を使え。

 それを曲げて『斬撃を飛ばす』? ハッ、それはもう『自分の選択を信じてない』凡人の逃げだ。距離で逃げたいなら最初から槍が弓でも握っとけって、私はそう思うね」


「…………お、おお。……じゃあ、サクは斬撃を飛ばせるようになっても使わないってことか?」


「いいや? 使えるんなら使うぞ」


「?????????????????????????(宇宙ネコ状態)」


「私が言ったのはあくまでも空想上の話、理想論としての話だ。そもそも、『かまいたち』なんてのは科学的にも証明されていないオカルト現象みたいなもんなんだぞ? それが現実で出来るっていうんならそりゃ使うさ。便利だしな」


(――驚愕きょーがくっ! 傍若無人。天衣無縫。自分勝手なあのサクがっ、真面目な感じに哲学っぽいこと語ってるぅぅぅぅ、トリハダぁぁぁぁ~~!!)


「――おいお前、いま失礼なこと考えなかったか?」


「……ぜんぜん」


「そうか――(ッシュ)」



 ――その時、俺は体に電流走るッ!!



『嫌な気配』を確かに感じた。左隣から襲い来るジャブのような豪速の拳! しかし――


「――見えるっ(目をくわッ)」


 俺は『抵抗』の効力も味方してか、見向きもせずサクの拳打を一歩前に出て避けてみせた。


(しゃっオラァ! 避けて――(ガッツ)ッッ!?)



[リン――〈掌底抵抗〉を得ました]

[――〈鈍痛抵抗〉が強くなりました]

[――〈拳撃抵抗〉が強くなりました]

[――〈頭打抵抗〉が強くなりました]

[――〈脳震抵抗〉が強くなりました]

 ――――

 ――



 久々に流れる『抵抗』の表示。『勝利』を確信した直後、後頭部に襲ったのは――『フック』による掌底だった。


「地味に痛ったぁぁぁ!!」


「ふっ! 私の『ツッコみ』から逃げられるわけないだろ」(抵抗のせいか? 手いてぇ~……)



[※リンッ――【苦シテ楽ナシ】を発動]

[※リンッ――〈抵抗耐性〉を得ました]

[※リンッ――〈硬殴耐性〉を得ました]



(~~~ッ。こいつぅ! 躱されたと悟った直後に距離詰めてフックに切り替えやがったなぁぁ!! なんて慣れた挙動だよちっくしょーー!!)


「――ほら、遊びはこれくらいにして、確認することがあるんだろ。さっさと検証しろよ」


 うずくまる俺へ、サクが手首を軽く曲げながら悪びれずにそう言う。


「わーっとるわい!」


 悔しさをにじませ、やけくそ気味に叫ぶ俺だった……。



 ――――

 ――

「――あった。マジであった」


 今、俺の目の前に置かれている『素材』が、触れた傍から『ッシュ』と消え、『盤面』に表示された。



[所持素材一覧]

 ⇒≪竜骸の穢血≫×1

 ⇒≪灰濁の骨鋼≫×1

 ⇒≪怨嗟の声帯核≫×1

 ⇒≪メテオライト≫×1



「あったのか。……ってことはやっぱり、『書かれてない効果』が技能にはあるってことか。……めんどくせぇ~。――よし、私は流れと運で見つけるから検証はしないことにしよう! そうしよう!」


(サクさん、めんどくさがりがりが過ぎるよ……)


 数分かけて検証した結果、俺が『在れっ』と強く願った『効果』――『収納機能』はちゃんと備わっていた。

 素材に変えて『錬創』する効果上、『素材の管理』ができなければ欠陥過ぎると思っていたが……あってよかった『収納』仕様!


(【剣魔錬創あれ】の第一印象がマイナスすぎて疑ってたけど……思ったより優秀でよかった。使う、使わないに関係なく、『素材』はあっても困らないしな)

(まぁ、わざわざ『箱に入れるイメージ』しなきゃ収納してくれないけど……。いや、なんでだよ! 『収納』って思うだけでいいじゃん! めんどくせ~差別化すなッ!!)


「――んじゃ、めんどいけどパパっと終わらせて戻るぞ。……ここはクサくてかなわん」


 そう文句を言いながら、サクは奥に積まれた装備品をせっせとかき集めてくれる。


「あ、手伝ってくれるんすか、ども。……そんじゃあ、手早く済ませようか」


 俺はサクの手伝いのもと効率よく『素材化と収納』をし、カーラさんの下へと戻――


「――おっも! やっぱ無理だな。悪いが先に戻ってるぞ」


 …………………うん、手早く終わらせよう。一人で!




―――――――――――――――――――




 ――部屋での作業を(レンが一人)終わらせ、カラミディアから予想通り驚嘆の反応をいただいた後、『私』たちは装備や部屋の物資を改めて確認し、準備万端の装いになっていた。


「――二人とも、準備は出来たな」


 カラミディアが『血の痕ひとつない』中古装備に身を包んで、私たちに最終確認のとってくる。その声音は、出会った時から変わらずに柔らかく、けれど背筋の奥まで真っすぐに届く――『覇気』のようなものを感じさせた。……いや、『覇気』って何だよ、私。


 ――あの後結局、私とレンのセンスに合う――じゃなかった、背格好に合う装備は、最初のワンピ以外には見つからなかった。……妥協すれば、まぁ…………いやうん。無理っ。


 そこで、私とレンは考えた。



『――もういっそ、自分たちで作るか』、と。



 そうと決まれば後はとんとん拍子だった。お互いの『異能』――レンの『黒煤』と私の『血』を使ってファッション――もとい『防具』を作り上げたのだ。主に私のセンスを元になっ。

 そうして出来た私のファッションが、これ――



[≪赫紐のネックウォーマー≫ 不思議な肌触りの黒い襟巻き。朱い紐が通されおり、裂くことも貫くこともできない不壊の素材でできている。ちゃんと暖かい]


[≪黒織のノースリーブ≫ ワンピースだった布を加工して作られた袖無しのシャツ。煤が張りつくように纏わり、物理干渉を阻む]


[≪赫裏の黒着≫ 裏地が朱、表が黒いパーカー。薄手ながら、一切の凶器を通さず、内に秘すべきものを包み隠す不思議な服]


[≪赫黒のロングパンツ≫ 膝上までが黒く、そこから下が朱い二色構成のズボン。朱い下部はジッパーのように脱着が可能で、可動性を重視した実用的デザイン]


[≪赫踏の煤履き≫ 底が朱く、甲が黒いスニーカー。地を踏むごとに足へ馴染み、体の動きを最大限引き出す]



 ――とまぁ、見た目はだいぶ現代的な装いになった。まさに、『表紙』や『キービジュアル』で映えるヒロイン枠のファッションってやつだっ。……少なくとも、ズタ袋の囚人服よりはマシになったし、落ち着く。


 ちなみに、この服を作るにあたって、レンから『多めの黒煤』を分けてもらった。

 気づいていなかったが、聞くとどうやら、牢屋前で私の血にくるまってたあの時から、ずっと『自分の体を燃やして』煤を生成し続けていたんだとか。それも、自分と私の分にまわしてもまだ余裕があるぐらいに。……『マジ痛い』と言っていたが、どんだけ無理したんだこいつは……。


「私は問題ないぞ。レンも……その………………………………服サンクス(ボソ)」


「…………えっ。今、サクが感謝した? 空耳?」


「――耳から『血』を流し込んで掃除してやろうか?」


「結構っ聞こえたっどういたしましてッ!」


 気遣った優しい奉仕案にレンが反射で反応する。……私からの耳掃除を蹴るなんてもったいない奴だ。


「そうか……なら最後に、二人に『これ』を渡しておく」


 そう言ってカラミディアが差しだしてきたのは、『黄色い液体』の満たされたガラス管――『神薬』だった。それを私とレンにそれぞれ三本ずつ。……『効能』を知ってるだけに、かなりの太っ腹だな。


「ん~、有難いけど……俺は自力で『治る』から、サクとカーラさんで分けた方がいいんじゃないですか?」


「それは覚えている。だが、万に一つ、わたしかサクが自力で神薬を飲めない状態もあり得る。そのような折、レンが持っていれば振りかけるなどして治癒させることができるだろう。そんな、『緊急時』を考慮しての支給だと思ってくれ」


「……なるほど。じゃあ受け取りますね。……けど、三本は多いんでサクに一本あげる」


「ん。確かに、このメンツじゃ私が一番貧弱で紙耐久だわな。……死にたくないし素直に貰っとく」


 私は受け取ったガラス管を、上着の朱い裏地に二本。両袖に一本ずつ仕込んだ。裏地の『血』で固定させてあるから滑り落ちる心配はない。頭がいい、私っ。


「……なんか、スパイとか殺し屋みたいな仕込み方だなっ」


「ふふん。かっこいいだろ」


「うんっ!」


 はいっ、『少年モード』のレンいただきました!


「――よし、では上がるとしよう」


 いらん掛け合いも一段落し、カラミディアの静かな号令に私たちは螺旋階段へと歩き出す。


「……あ」


 先を行こうとしたとき、レンが差し掛かった『一番端の部屋』の前で立ち止まり、おもむろに中へ入っていく。


「ちょいタイム」


 振り返った私とカラミディアが立ち止まる中、レンは腐臭の漂う『拷問部屋』――そこに転がる『肉塊の死体』の傍にしゃがむと、何かを拾いすぐに戻ってきた。


「お待たせ。すっかり忘れてたんだけど……カーラさん、これって何だかわかります?」(『説明』読めんし意味わからん)



[≪癒癒の残胤のソウル≫:再生に救いを見出し、癒しに狂った聖女の残滓。彼女の癒しは、もはや痛みを伴ってしか訪れない悲しき奇跡となった]



 レンの手のひらにあったのは――『白く揺らめく人魂』のような光球。小さい手を覆うほどの大きさで、薄暗がりでもはっきりと存在感を放っている。


「(名称スルー)……あ、ソレ私も見たぞ。下で『マニュラ騎士』をぶっ飛ばした場所に浮いてたな」


(結局、忘れてたから回収もしてなかったなぁ)

(……というか、鍵探してたときに光源として使ってたな。完全に照明扱いでガン中になかったわ)


「それは、『ソウル』だな。それも、『深淵の聖女』の遺したもの。……ここまで大きのは、それだけ彼女が拷問を重ねてきた証……なのだろうな」


「ソウルって……『魂』のこと?」


 カラミディアが小さく頷く。


(……ただの神秘的な照明じゃなかったのか。マジの『人魂』だったとは)


 白く揺れる人魂は、ぱっと見で直径十センチ以上。まるで微睡むよう、穏やかに形を変えながら淡く輝いている。……でも確かに、『魂』だと言われれば――途端にソレが、熱い『命の余熱』のように感じられてきた。……なんか、詩的な感じで恥ずかしいこと思ったな、私。


「命ある者の魂は、本来死を迎えれば天へと還るものだ。……だが、『影の戦役』を境に、その流れは閉ざされた。『太陽(光の道)』が消え、魂たちは還る先を失ったんだ。そのため今では、彷徨う魂は地にとどまり、時に英雄や深淵の者たちに『力』として取り込まれてしまうようになった」


 そこで、カラミディアが言葉を区切る。


「人というのはどのようなモノであれ、それが『未知』であれば知ろうとするものらしくてな。敗戦の後、生き残った『天の魔術院』の者たちが、この『ソウル』の性質を探った。研究し、時には非人道的な手段で調べたらしい。……その結果、幾つかの用途が明らかとなった。それが――

「――はいはい、ちょっとストップしてくださ~い」


 私は警備員のごとく、手を突き出して彼女の説明を止めた。


「ん? どうしたのだ?」


「サク。お前まさか……」


「その話、長くなるか?」


「言った~! この人やっぱ言いぁー! 隣りで飽きてきた感じしてたけど、制止してまで言いやがった~!!」


「いや誤解をするなレン。なにも聞きたくないって言っているわけじゃない。ただ簡潔に頼む、って言いたいだけだ。……知らん用語が混ざるから頭がこんがらがるんだよ。……ってか、そういうお前は理解できたのか?」


「いいやまったく――(スパンッ)いって!」


「……お前、『聞いてる風』のいっちばんタチ悪いやつじゃないか。そんなんでよく私にツッコめたなぁ」


「自分、不器用ですから」


「そうか(無関心)」


「――ふむ……確かに、わたしのこの知識も残された『書記』を読んで得たものだからな。相手が知っていることを前提で話してしまった。すまない」


「できれば、私たちの知識レベルまで下げてくれ」


「俺らのレベルって、マイナスだろ確実に……」


 私がそう提案すると、カラミディアが腰に下げた『四次元革袋』に手を突っ込み、『あるモノ』と取り出した。……『四次元革袋』の名称に関しては、後で説明する。私はまだ、『あの現象』に納得がいっていないがな……。


「それなら、実践してみよう。これは以前、わたしが討った『深淵の亡者』から得た『ソウル』だ」


 そう言って見せてきた『ソウル』は――小指の爪ほどの人魂チョロ火だった。


「「ちっさ!!?」」


 白く揺らめく人魂には違いないが、そのサイズ差は一目瞭然だった。確かに、これを見た後じゃレンの持つ人魂がいかにデカいがわかる。


「そして、この『ソウル』をこうするんだ――」


 カラミディアはその小さな『ソウル』を鎧の上から胸に当てる――すると、ふわりと体全体が仄かに光った。


「光ったな……んで、結局なにが起きたんだ? まさか、一瞬だけの『人間照明』?」(憑依合体みたいだな……知らんけど)


「絶対違うと思う」


「わたしは今、他者の『ソウル』を――そこに込められた『力』の一部を己に『取り込んだ』んだ」


「あ~~……はいはいそういうこと。『経験値システム』な。理解した」


「……その例えが即通じる俺。……ホント何なんだろうな、この感覚?」


「これあれだろ? 『ソウル』が大きいほど得られる『力』が多いってことでいいんだろ?」


「ああ、その通りだ」


「やっぱ『経験値』だな」


「今のが、『魂に宿る潜在能力』の『吸収』だ。他には――『燈火の御子』による『昇天』と、魔術や奇術などの『触媒』としての利用がある」


「あー……吸収が『経験値』で、昇天……これはそのまんま『成仏』でいいのか? んで、触媒が……『魔法アイテム』扱いって感じかぁ……。はい、完璧に理解した」


「…………あー、そーゆーことね。はいはい、完全に理解したわ(わかってない)」


 レン《コイツ》、いま絶対知ったかしたな……。


「『ケイケンチ』や『アイテム』が何を指す言葉か分からないが、君たちがそれで理解できたのなら、それで十分だろう――それでは、次はレンが試してみてくれ」


「――え、オイっすか?」


 話を振られたレンが自分を指さして驚く。……一人称どうしたいおい。


「ああ。その反応からして、君たちはまだ『ソウルの吸収』を経験したことが無いのだろう? この『エレナス邸』から脱出を試みるうえでも、戦いに備えるうえでも、君たち自身が強くなるに越したことはない。……それに、レンが討った末に得たソウルだ。君自身が用いるのが道理だろう」


「はぁー……じゃあやりますか」


「決断早いなおい。……レンがやって何も起きなかったら、私も下の拾ってきて『憑依合体』やってみるか、ボソ」


「ボソじゃねぇ、聞こえるように言うな。人を実験台みたいに……。はぁ、そんじゃやりま~す」


 呆れた表情で文句を垂れながら、レンは手に持った大きい人魂――『ソウル』を自分の胸に押し当て――



――――ヒョイ



「……は?」


 ――ようとした手前で、『ソウル』が逃げた。


「おい……今」


「避けたように、見えたな……ふむ」


「……もう一回」



――――ヒョイ……ヒョイっヒョイっヒョイっ……ドシンッ



「ぐぎぎぎぎ……!(苛)」


 レンが口元をヒクつかせ、奇声を上げる。何度も胸やそれ以外の場所に押し当てようとするが逃げられ、挙句には壁で押し付けようとしても、クルっと手の甲に回られる始末。弄ばれてんなぁ。

 見ているとまるで、『同じ極の磁石同士』を近づけ合っているみたいに、ニュルっと逃げているように見えた。


「…………念のために、サクも試してみてくれないか?」


「え゛」


 カラミディアがそう言うと、『四次革袋』から五センチほどの『ソウル』を取り出して、私に手渡してくる。


「……ま、まぁ、試してやってもいいがな……」


 私は『ソウル』を受け取ると、喉をゴクリと鳴らし、レンと同じようにソウルを胸へ――



――――ヒョイ



「――おい貴様。私を避けるとはいい度胸だな。あぁ? 次ぎ避けて私に恥をかかせたら、瓶に詰めた海底に沈めるぞ?」


「……魂に脅しかける人、初めて見た……」


「駄目か。うむ……このような現象は初めてだな。……といっても、人との繋がりが殆どないわたしだから、知らないだけかもしれないが……(ブツブツ)」


 カラミディアがまたしても、私たちのことで思考の海へと泳ぎ始めてしまった。その隙に、私はレンの傍により耳打ちする。


「おいレン」


「グぎぎぃ、また避けられたぁ……え、なにサク?」


 まだ『ソウル』に弄ばれていたレンが、こっちを向く。


「――私らがこの強化イベント通過できないのって……『異世界人』だからじゃないか? 私たちが『転生』したせいで、この世界の……『システム?』から外れたとか、そんな感じで」


「あ~、ああ~なるほど。ありえるありえるっ。『魂』関連だからそうかもな」


「のんきかお前は! つまりあれだぞ……私たちはこの世界で唯一――『楽して強くなれない』ってことなんだぞぉ!!」


 コソコソ話のつもりが、感情が高ぶって気づけば声を大にして叫んでいた。……まぁ、私の言いたいことは結局それに尽きるわけで。理由も納得できるとなれば、もう……どうしようもないっ。


「ダサい修行編とか嫌だーぁ! チートで楽して自堕落に暮らしたいんだ私は~! この際、R18のグロくて辛気臭い世界観なんて関係あるかぁ! ここから出たら自家製の『マヨネーズ』とかっ…………あ、あとは知らないが……マヨを広めて金とコネを作り、いずれはこの世界の億万長者に君臨してやるのだッ! な~はっはっはっは~!! ――そうしたらレンとカラミディア、お前らには世界の一割を貸してやろう、ふフフッ!!」


「…………こいつ、常軌を、逸してるっ!」(『一割』でしかも『貸し』! ケチくせぇ!)


「さっきからいったい、何の話をしているんだ、君たちは……?」


 いつの間にか思考の海から上がっていたカラミディアが、初めて見せる、ほんのりと『距離感』のある視線で私たちを――私『たち』を見ていたのだった。




――――――――――――――――――――


(※は非表示、見えていないものとする)

◇New衣装:サク


[≪異端の修練刀≫

※分類:刀/打撃 〈技能:刺突(サク:戦技不可)〉

※効果:技量、信仰+2。耐久、魔力-2。転倒効果+スタン(サク:効果無効)

・悪鬼、ラセツの佩刀。東方より伝わる、雷に打たれた神木を削って造られた修練刀。本来は稽古用の木刀に過ぎないが、信仰を極めた修羅の業を宿すに至った

 刃なき一打は敵を殺さずして戒め、斬れぬ刃は最も深き戒律の象徴とされた

※〈刺突〉:水平に構えながら力を溜め、前方へ鋭く突き出す技。溜めることで踏み込みが強化され、敵の体勢を崩し、盾を弾きやすくなる]


[≪黒煤の無刃刀≫:『黒煤の小塊』と『黒煤の小塊』を用いた錬創剣。刃のない奇形の長物。柄も鍔も持たず、刀身すら黒く細い峰しか存在しない。刀とは呼べない不定形の塊]



[≪赫血の元結≫: 朱い髪を束ねるのに用いる紐。しなやかだが強靭で、戦闘中でも乱れない]


[≪赫紐のネックウォーマー≫:不思議な肌触りの黒い襟巻き。朱い紐が通されおり、裂くことも貫くこともできない不壊の素材でできている。ちゃんと暖かい]


[≪黒織のノースリーブ≫:ワンピースだった布を加工して作られた袖無しのシャツ。煤が張りつくように纏わり、物理干渉を阻む]


[≪赫裏の黒着≫:裏地が朱、表が黒いパーカー。薄手ながら、一切の凶器を通さず、内に秘すべきものを包み隠す不思議な服]


[≪赫黒のロングパンツ≫:膝上までが黒く、そこから下が朱い二色構成で長い丈のパンツ。朱い下部は脱着が可能で、可動性を重視した実用的デザインになっている]


[≪赫踏の煤履き≫:底が朱く、甲が黒いスニーカー。地を踏むごとに足へ馴染み、体の動きを最大限引き出す]


[≪赫血のバングル≫:凝固した血液から成る腕輪。特定の者のみに応える概念を宿し、その存在は意思に呼応して形を変える

 誰の血であったかはもはや関係のないこと。ただ、彼女が望むかぎり赫血は激しく揺れ動く]



[≪神薬の霊管×4≫:かつて錬金術師たちによって創られた、霊性を宿す硬質の管瓶。中には、黄金樹の果実から滴るとされる『命の蜜液』が満ちており、底には『祝種』と呼ばれる小さな種子が静かに輝く

 祝種は人類のみに与えられ、時間と共に蜜液を生み出し続ける、恩寵の核。器を傾ければ、傷を癒し、命を縫い、魂に輪郭を与え、死を遠ざける]


[≪スローイングダガー×13≫:よく研がれた小型の投げ刃。鍛冶師の余り鉄から削り出された粗製の投擲具]






◇新作衣装:レン


[≪黒煤の義腕脚(左)≫:左半身の欠損を補う漆黒の義手義足。熱も痛みも感じず、ただ意思に従って形を変える]



[≪煤喰の半袖≫:黒粒子が寄せ集まり、仕立てられた半袖のシャツ。見た目より遥かに丈夫で、何ものも通さぬ不壊の意思を宿す]


[≪黒落の長衣≫:不思議な手触りの黒い長袖パーカー。薄手ながら刃を通さず、動きの阻害もしない。黒い布地は風に馴染み、身を隠す者の友となる]


[≪黒歩のカーゴパンツ≫:多くの衣嚢が付いた、黒く丈夫なズボン。脚の動きを阻害せず、荷重分散にも優れている]


[≪黒輪の靴≫:全体が黒く、回転式の締め具が付いた靴。歩くたびに、足首を意思ひとつで締め直す機能がある]


[≪黒煤の腕輪≫」焼かれた人体の黒粒子を、圧縮し封じた腕輪。その密度は異常であり、見た目を裏切るほどの質量を内に宿す

 火の残滓というにはあまりに歪みすぎており、それはすべに物質ではなく在り方なのかもしれない]



[≪神薬の霊管×2≫]






◇新規装備:カラミディア


【右手武器1】≪灰燼の竜爪(右)≫

分類:爪 〈戦技:???〉

効果:炎属性+竜族性+延焼効果。延焼効果、持続時間上昇

・特異の竜人が、己の血肉より鍛えた焦熱の鉤爪。黒炎の熱を宿し鉄すらも切り裂くが、その爪は痛みと共に形作られる


【右手武器2】≪風民の大弓≫

分類:大弓 〈戦技:一矢一吸〉

効果:持久力+2。敵視軽減+射音軽減

・鷹の兵と呼ばれる遊撃兵団の得物。巨体の獣すら射抜くとされる重弓だが、その特徴は重さではなく風の読みにあった

 彼らは射程を競わず、一矢一呼の静寂を尊んだという

〈一矢一吸〉:射手の呼吸に同調し、空気を流れに合わせて矢を滑らせる。その一射は狙った者のみを射抜く


【左手武器1】≪焦黒の竜爪(左)≫

分類:爪

効果:炎属性+竜族性

・右と対になる黒い鉤爪。黒炎の熱を宿し、鉄すらも切り裂く竜人の証


【左手武器2】≪赫鋼の業剣≫

分類:大剣/深淵(竜)特攻

効果:筋力+5。生命力、耐久-2。炎属性+炎強耐性。炎属性の効果上昇。熱による耐久修復

・古の竜族が、堕ちた同胞を裁くために鍛えた赤鋼の大剣。この刃に選ばれるということはすなわち、持ち主の血を刻み、啜り、名も知れぬ断罪者の業を継ぐことを意味する



【頭防具】≪赫鱗の角飾り≫

効果:信仰+3。炎強耐性

・竜族の高位個体にのみ与えられる、赫き鱗の角飾り。今は亡き同胞の血が染みついている


【胴防具】≪薄焼きの黒革衣≫

効果:生命力+1。炎微耐性+打撃耐性

・火に強い軽量の黒革鎧。火を通さぬ加工が施され、衝撃にも強い実戦的な装備

 厚くわない。だが生き延びるための選択がこの一枚には確かに刻まれている


【腕防具】≪拾い鉄の腕巻き(左)≫

効果:耐久+2。物理耐性

・鉄製の薄い腕巻き。遺された対の片割れ。寄せ集めの鉄を溶かしてできた柔軟で強固な鉄帯

 足りないまま戦うことを受け入れ、揃わぬことを恥じとしない。それが、この鉄の流儀だった


【脚防具】≪鷹の脚甲≫

効果:転倒耐性。移動速度上昇+跳躍上昇。落下ダメージ軽減

・かつて風の民と呼ばれた遊撃兵たちが装備した軽量の脚甲。骨格を補助する構造を持ち、跳躍や着地の際、風の流れを知るかのような動作を可能にしたといわれている

 鷹の兵たちが守ったものは、己の身ではなく風の道理だったという


【指輪1】≪誓血の環≫

効果:HP50%以下で、斬撃威力上昇

・儀式に使われた血が固まり、輪となったもの。持ち主の血が熱を帯びるとき、かつての誓いが目を覚ますと言われている


【指輪2】≪炎誓の紅輪≫

効果:炎属性の威力上昇。炎耐性

・竜の炎を高める信仰の残光。魔術との親和性がある



【アイテム】≪導きの袋≫:黄金樹の祝福を受けた者のみに許される、見えざる空間を束ねる霊なる袋。表面は色あせた革で編まれているが、その内には『場所』がない。手を差し入れれば、求めるものが導かれるようにして現れ、通るものを瞬く間に飲み込む

 それは、黄金の樹木の導きが迷える者に与えし方便。神意なき者が袋に手を伸ばしても、中は空であり、何も掴めぬという


【アイテム】≪神薬の霊管×5≫


【アイテム】≪風民の穿ち矢×16≫:大弓で用いられる、風の流れを象り彫刻された大矢。風を読んで飛び、狙った獲物を貫く風の民の特製矢


【アイテム】≪スローイングダガー×18≫


【アイテム】≪浄火の結晶×3≫:錬金術師たちの手掛けた投擲結晶。投げつけると、青白い炎で敵を照らし焼き、瘴気をわずかに浄化できる


【アイテム】≪緋油×23≫:革袋に詰められた、火に反応して瞬時に燃え上がる濃赤の油。武器に塗布することで、短時間だけ炎属性を付与することができる


【アイテム】≪ダフの実×13≫:大陸各地で見かける殻の実。殻を割ると間を開け、高い音をたてて破裂し、遠くまで種を飛ばす


【アイテム】≪鼠の焦がし焼き×4≫:黒く焦がした小獣の姿焼き。肉はすでに灰と化し、手に取るだけで煤はこぼれ、口に運べば苦みが襲う。だが――その中に封じられた熱き肉汁は、奇妙な甘味と塩味を併せ持ち、ひとたび味わえば、誰もがその旨みに『驚嘆』するという

 焦げの層で肉は腐らず、一部の『英雄』たちは、これを『火の残り香』と称して珍重した。『勇気』を持った者、または『愚か者』だけがこの珍味を食せる



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