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第8話

昔々、この世界には「魔法大国」と呼ばれる国がありました。


その名は不明。なぜ滅んだのかも不明。


最後の歴史書の記述は、10年前。

「闇の属性王が滅ぼした」とだけ書かれており、詳細はわからない。


なぜなら、記録が廃棄されてしまったから。

死者は数十万人。被害は甚大で、現在も復旧の余地すらなし。

もともと国があった場所には、荒地が広がっている。


民も多く、領地も広く、莫大な国家戦力を有し、栄えていたというのに。


いつしかその国は、「魔法の象徴」ではなく「絶望の象徴」と呼ばれるようになった。


その国についての記述に、一つだけ残っているものがある。


「当時6歳だった光の属性王様を、女王様が逃した」という文。


その人物は王族で、女王が咄嗟に逃したとされている。


それが真実なのか、嘘なのか。

姫は生きているのか、それとももういないのか。



誰も知るものはいない。

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