第23話

「あー、アタシそろそろ仕事だ」


「え?」



お昼頃。まだ12時過ぎてないけど。この人なんの仕事してるんだろう。……私には関係ないか。


そうこうしていたらヒナ兄はスーツを着てやってきた。



この時間から? 黒いシャツに黒いネクタイに黒いスーツ? まるでお葬式。すごく気になる……。



ヒナ兄の家にあったお菓子を食べながら、ヒナ兄を見送った。



40インチくらいのテレビが目の前に置いてある。一人暮らしだというのに、ロウより大きなテレビ。



なんとなくリモコンをいじってつけてみると、DVDかなにかの映像が流れ始めた。



「……?」



いかがわしいやつでは……!?


なんてことを考えてしまった私の頭がいかがわしい。いやしかしこれは、なんだ。



顔が映っていないけど少女が複数の人間に囲まれている。セーラー服を着ていて、なんとなく、そう、なんとなく……レイプ現場のようなイメージさえ浮かぶ。



でも違う。

そうじゃない。



流れる映像から音声はない。音声がないだけ安堵している自分がいる。おかしい。間違ってる。どういうことだ?



疑問符が頭の中を巡った。



そして一種の答えに似たものにたどり着いた途端、怖くてたまらなくなった。

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