第28話

そうして今、あたしは大学を卒業して、とある企業で働いている。


まだ心の傷が全て癒えたわけじゃない。

湊がいないまま回っていくこの世界をどうしようもなく寂しく感じることもある。


一人暮らしをしているアパートに帰れば色んな思い出が今でも鮮明に蘇った。



難しそうな小説をよく読んでいた薄桃のソファ。

泊まるときは、あたしを抱きしめて一緒に眠ったベッド。

あたしが怪我すると危ないからって、いつも料理をしていたキッチン。


一回だけ、あたしが肉じゃが作ったこともあったっけ。

すごい喜んでくれたんだよね。

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