第23話

「突然の別れだったから、俺茅子ちゃんに言えてないこといっぱいある。」


「なに?」


「俺の奥さんになって欲しかった。」


「…うん。」


「子どもは二人で、両方男の子。」


「女の子は欲しくないの?」


「女の子だったら茅子ちゃんが嫉妬しちゃうでしょ?」


「…馬鹿。」


「それでお互いおじいちゃんとおばあちゃんになってもずっとラブラブでいんの。」


「…うん。」


「茅子ちゃん、」


「なに?」


「俺と出逢ってくれてありがとう。俺を好きになってくれてありがとう。……幸せにできなくてごめんね。」


「…何いってんの。幸せだったよ。」


「本当?…俺も幸せだったよ。俺を幸せにしてくれてありがとう。」


冷蔵庫やソファ、家具や部屋の輪郭が段々とぼやけてき始めた。

眩い光が部屋に差し込み始める。


「茅子ちゃん、忘れないで。君を愛していたこと、君が愛していたこと。ずっと見守ってるから。俺だけの可愛い人。夢でも、こうして会えて嬉しかったよ。」


湊を光が包みはじめる。


「まって、湊!あたしも!あたしも、湊のことずっと愛してるよ!ありがとう!!」





最後に振り絞った声が湊に届いたのかは分からない。

だけど、瞼を閉じればあの優しい笑顔が思い浮かんだ。

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