高校の時に2つ下の湊と付き合いはじめたあたし。

大学は別々になってしまい、なかなか時間が合わない日々が続いた。

だから、お互いの予定があった8月20日は遠出しようって、久しぶりにゆっくりしようって二人で約束した。

―――――大型トラック追突事故。

旅行先のパンフレットを開いて“ひまわり畑もあるね。”なんて、久しぶりのデートに浮かれて談笑していた時だった。

バックミラーに不穏な影が映ったのと何かを引き摺るような轟音が響いたのは、ほぼ同時だったように思う。

「それで俺は、」

「言わないで。」

「俺は、」

「お願い、湊言わないで。」

「俺は死んだんだよ、茅子ちゃん。」

耳をつんざくような甲高いブレーキ音が頭に反響した。

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