閑話 カーテンコールの後に

カーテンコール。

劇に出演した人から製作に携わったメンバーが舞台に立って礼をする。

それに対して観客たちは拍手で返す。

そんな中、私は冷や汗が体から出ているのを感じた。


お兄はどんな戦いを経験したのだろうと。


舞台内で描かれた血の描写、途中で無くなった腕。

私が思いついた戦いよりもよりリアルというか、解像度が違った。


そりゃあ、剣で斬るのだから物は二つに分裂する。

斬られれば血も出る。もっと言えば臓器だって。


そう連想していった時にふと思った。


他の兵士が殆ど出てこなかったのは、演出の都合なんかじゃなくて、数えきれない人たちが戦って命を落とした証拠なのではないのだろうかと。


前にセレスさんが言っていた。

『頭と心臓を同時に潰されなければ再生する』


お兄は何度死に直面したのだろう。

現実を見てない私からすると想像することしかできないが……いや、想像も難しい。


お兄の戦いの話を聞いてみたいと思う。けれど、怖い。

得も言えぬ恐怖感が私を襲う。


それはお父さんとお母さんも一緒だったようで、戦慄した表情で舞台を眺めていた。


「あれを、和也が実際にやったのか」


暫くの沈黙の後、お父さんがそう感想をひねり出した。


それに私達はあいまいに頷いた。


「私は魔王対戦の時は生まれていなかったですけど、戦いというものを知っています。といっても、魔物との戦闘だけですけど。それでも、お父様とお母様はどんな思いをしていられたのか……」


終わった後、私達はなんて二人に声を掛ければいいんだろう。

劇が終わりまばらになった観客席に残った私達はそんな考えが脳内を反芻する。


かといって、気まずいとかそう言うのではない。単純にどうやって話しかければ良いのかが分からなくなったのだ。


でも、会わなければ。そう引き立てられる。

私達は事前に示し合わせた場所に、誰が率先するわけでもなく、足を向けた。

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