第31話

「え、なんで?」


「アンタは知らないかもしれないけど、田端くんってモテるの!今のアンタは彼女っていう立場!

田端くんだってアンタからの誘いなら断ったりしないでしょ。

彼女っていう立場を使って牽制しないと負けちゃうわよ!」


「負けるって、勝ち負けじゃないでしょ」


「甘い!恋は戦争なの!そう…戦争、なのよ…」



夏樹はしゅんっとした顔をする。



「いや、勝手に落ち込まないでよ」


「だ、だってぇ…」



夏樹は中学時代に彼氏がいた…のだが

その彼氏は別の女の子の方へ行き、振られてしまったという過去がある。

そのことでも思い出しているのだろう。


先程より塩らしい様子で私を見る。



「いいっ?アンタの美徳は行動力の高さ。昼休みにいって誘ってきなさい!ついでにご飯も一緒に食べてくればいいわ」


「……夏樹はいいの?ボッチ飯になりかねないけど」


「アタシはアンタと違って友達一杯いるわよ!」



ぷんすかと頬を膨らませながら夏樹は私の背中をバシっと叩く。二度目はさっきより痛かった。

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