第14話

「汚いとか思わないから、平気だよ」


「…でも、その」


「手つなぎたいなって思うんだけど、だめ?」



こてんと首をかしげて聞くと、ただでさえ赤い頬を更に真っ赤にしてぶんぶんと首を横に振る田端くん


なんか赤べこみたいだ。あれ縦振りだけど。かわいいな…。



「嫌になったらすぐに離していいから…」



控えめに手を握り返してくれる田端くんに思わず笑みがこぼれる。



「心配しすぎ。それよりクレープなにがあるだろうね」


「甘い物が多いみたいだけど、おかずも結構豊富みたいだったよ」


「おお、いいね」



手を繋ぐ以外、いつも通りの会話を交わす。

先程まで真っ赤だったのに、日常会話を振ればすぐに赤みは引いていって、今ではいつも通りの顔色に戻っていた。



「あ、ついたよ」



田端くんが指さす先にはクレープのキッチンカーがあった。

キッチンカーの前には沢山の人がいて、繁盛はんじょうしているらしい。



「わぁ、メニュー豊富だね」



メニュー表を見て、声を上げる。確かにバリエーションが豊富だ。



「どれにするか決めた?」


「んー、ちょっと待って」



最初は甘いチョコバナナのクレープが食べたかった。

でも、オカズの方にある卵とハムのクレープもかなり美味しそうで迷ってしまう。

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