第38話

私から言わせたら可愛い顔のかっきーは、周りの女の子たちにしてみれば綺麗めの美少年顔のようで、母性本能をくすぐられて好きになっちゃう子も少なくないらしい。


それに加えて今日の髪型可愛いねとか、そのリップ似合うねとか、そういうことを平気で口にする性格だから、彼女がコロコロと変わるのもまあ納得できなくはない。



私は心から好きになった人と付き合えばいいのに、と思うのだけど、本人はたしかに毎回本気だし、彼女がいる間は一途で浮気もしないから、私もそれ以上なにを言っていいのか分からないのだ。


でもそうやって一途に思っていたのが嘘のように思えることもある。


何か違うと思う瞬間が訪れるとスイッチを押して部屋の明かりを消すみたいに、簡単に相手を切り捨てて離れてしまえるのだ。


それが優しさだと言う彼の主張も頭では理解できるけれど、私はどうしても切り捨てられた側の気持ちに立ってしまって無数の棘に胸を刺されるような痛みを覚えるから、かっきーの恋愛事情にはあまり口を出さないようにしている。



いくら仲の良い友達でも、踏み込むのが躊躇われる領域って多分ある。

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