【1】 インタビューの前に
舞台は、「《ハヤシ・センチMENTALカレッジ》 イタリア・ミラノ校」の「UMINO(海野)ゼミ」の教室内。
客員教授の林美香と、今日のゲストのソフィア・マッシマ、
それから院⽣の林美生、桝井裕揮、ジョヴァンニ・マッケローニ、ラウラ・ペペロンチーニの合計6人が、囲むように着席している。
まもなく、美香による特別授業「ピア活動 体験実践演習」が始まる。
【美香】
はい、それでは、時間になったから、授業を始めるわね。
今日は、ご覧のようにゲストの方をお迎えしています。
そして、今日の授業内容は、あなたたち4人で、ゲストの方に、ピアさんとしてのご体験をインタビューするという内容にしたいと思います。
じゃあ、まずは私からゲストの方をご紹介してから、簡単に、みんなで自己紹介をしましょうか。
ゲストの方は、ロンバルディア州からお越しのソフィア・マッシマさんです。
パチパチパチ。
【ソフィア】
ピアチェーレ(よろしくお願いします)。
【美香】
実は、ソフィアさんには以前、私のラジオ番組「こころのダイアローグ」に出演していただいたことがあってね。
もうすでに、お互いに親しい話し方をする仲(ダーレ・デル・トゥ)なの。なので、以後、ソフィアのことは、「ソフィア」とよばせてもらうわね。
ポッソ?(いいかしら?)
【ソフィア】
チェルト、美香。(もちろんよ、美香。)
【美香】
それじゃ、ソフィアの紹介を簡単にさせてもらうわね。
ソフィアは、学生の時は、郵便局員になることが夢だったんだけど、一度は夢破れて、一般企業の家電量販店に勤めるの。
でも在学中に、すでにうつ病を発症していて、わけあって治療を受けてない中で働いていたからとっても大変だったの。
で、家電量販店は結局行き詰ってしまったんだけど、その時もう一度郵便局員を目指すべく決意して会社を辞めるのね。
それで、会社を辞めた後は、今回はアルバイトをしながらしっかり学校に通って勉強して、見事、公務員試験に合格するのね。
そして、郵便局員・個別指導塾の講師・家庭教師と、トリプルワークで大活躍してきたのよ。
【裕揮】
わぁ、トリプルワークって、ものすごいですね! 体は大丈夫だったんですか?
【美香】
その質問への答えこそが、今回ソフィアにここへ来てもらってインタビューさせてもらう理由のひとつかもね。その後の話をたっぷり聞かせてもらうわね、ソフィア。
【ソフィア】
わかったわ。なんでも訊(き)いてちょうだい。
【美香】
それじゃ、みんなで簡単に自己紹介ね。私から時計まわりにしましょうか。
林美香、48歳です。双極性障害を患っているわ。仕事は普段はINKのラジオ局で、パーソナリティとして働いていて、週に一度だけこの大学で教えてるわ。
クラシック音楽が好きだわ。よろしくお願いします。
パチパチパチ。
【ソフィア】
ソフィア・マッシマ、38歳です。うつ病を患っているわ。仕事は、今はしていなくて、「障害年金」を受給しながら療養中よ。
洋楽のロックが好きね。よろしくお願いします。
パチパチパチ。
【美生】
林美生(みお)、24歳です。美香先生の娘です。双極性障害を患っています。修士2回生で、父と同じくピア作家を目指すため、この大学で勉強しています。
クラリネットを吹くのが好きです。よろしくお願いします。
パチパチパチ。
【裕揮】
桝井裕揮(ますいひろき)、25歳です。日本の「ハヤシ・センチMENTALカレッジ」からこのミラノ校に編入してきて、大学院に進みました。
将来は、臨床心理士の資格を取って、ここ、イタリアでカウンセラーになることを目指しています。好きなものはキカイ類全般です。よろしくお願いします。
パチパチパチ。
【ジョヴァンニ】
ジョヴァンニ・マッケローニ、24歳です。統合失調症を患っています。
林音生先生のご著書を子供のころに読ませていただいて、大変感銘を受けたことがきっかけで、この大学に進みました。
将来の進路はまだ決まっていません。好きなものはイタリア映画鑑賞です。よろしくお願いします。
パチパチパチ。
【ラウラ】
ラウラ・ペペロンチーニ、23歳です。私は、お医者さんにも特定不能な病として、非定型精神病と診断されています。
ピア活動に大変興味があって、ソフィアさんの弟さんが代表を務めておられる「グルッポ・センチメンターレ」のメンバーにも加えさせていただいています。
将来は、「グルッポ・センチメンターレ」の事業を拡大して、より多くのピアさんの助けになれるような役割を担いたいと思っています。
好きなことは水泳です。よろしくお願いします。
パチパチパチ。
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