第9話

ここから出たくて、必死で震える唇でなんとか口にする。


「お兄さん……私、学校に行かなくちゃ」


 咄嗟に口に出した一言に納得したのか腕をパッ、と意図も簡単に離してくれる。


「……まあ、いいよ。送って、あげるから準備しておいでよ、夜々ちゃん」


 その言葉が告げられ、男から買い与えられて着るように命令された服から1着手に取り脱衣場に駆け込む。


 我慢しなきゃ、と怖いが重なって不安な感情に打ち付けられながら早々と着替えて準備を終えると、待っていたかのように立ち上がり、昨日の晩に用意し終えた私の鞄を当たり前かのように持ち玄関に向かう。


「鍵、ちゃんと閉めておくんだよ?」


 男はそう告げ、自分の車に向かい、私はしっかり戸締りをして立派な男の真っ黒な車の開かれた助手席に足を踏み入れ、車が出発するのを、ただ大人しく待つ。

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