第91話 鈴音と隼人
(この北海道旅行……鈴音さんと体を重ねているだけで終わってしまった……。でも、あまりにも魅力的すぎて北海道のどんなイルミネーションなんかよりも美しいのだから仕方ない……)
冬だからロングスカートを履いており、それでも彼女の健康的な美脚であることが分かる。カップルでイルミネーションを見ている男達も彼女に視線を向けている。そんな彼女を妻に出来た優越感と男達が向ける卑猥な視線に苛立ちを覚えていた。
「クスッ、隼人君はイルミネーションよりも私にご執心のようね?」
現在隼人たちは、さっぽろホワイトイルミネーションにいた。日本で最初のイルミネーションとして始まり、初冬の札幌を彩る風物詩。
鈴音との夕食を終えて散歩がてら、ここへと来ていた。そして、本来はここで告白するつもりであったのに、想定外のことが重なり結婚まで至っていた。
「あぁ、ほらスマホの待ち受けも鈴音さんだよ。これで会えない時の寂しさを埋められる」
「そうね。私もこれから忙しくなるものね……もちろん、貴方も」
「そうだな……それでも鈴音さんとの時間は大切にしたいと思うよ」
「嬉しい……ちゅっ……随分と積極的ね」
「鈴音さんがキスして欲しそうな顔をしていたから」
「クスッ、大正解よ。ちゅっ……チュクッ、ンンッぅ……ちゅぷっ」
鈴音の好きなキスはバードキスからの舌を絡めるキスの順番だ。彼女は恥ずかしくて自分が好きなプレイを言わないが洞察力に長けた隼人にとって隠していても隠しきれない彼女の反応を正確に読み取っている。
「そろそろホテルに戻ろうか……ここは人目が多い」
「……そ、そうね//」
あまりにもキスに夢中になっていた鈴音は周りの事などお構いなしで、隼人を求めていた事実に赤面していた。そんな情熱的な彼女をまた素敵だと感じさせる。
(どれだけ俺を惚れさせれば気が済むんだよ、鈴音さんは……)
寒いはずの北海道であったが、隼人は気にならないくらい体が熱かった。最早、湯気が出そうなほどであり、それは鈴音も同様なのだろう。今にもコートを脱ぎだしそうなほど暑そうにしていた。
「それじゃあ帰るよ?……明日で帰る事になるけど……寝かせないからな?」
「……ッ!クスッ、私の体は貴方のモノよ。好きに使ってくれて構わないわ」
「違うだろ?」
隼人が珍しくやや圧を掛けるように鈴音へと迫る。そんな彼の雰囲気に当てられて、驚きの表情を浮かべる。
「わ、私も気持ちよくして下さい……お願いします」
「良く出来たね?今日は昨日よりも激しくいくよ」
「お、お願い……これ以上は耐えられないから、許して……//」
耳まで真っ赤に染めて、太ももをモジモジとさせており誰から見ても彼女が発情していることは明らかだった。それも絶世の美女と言える鈴音である。すれ違う男達が足を止めて、彼女を見ているため少し人が集まってしまっていた。
――あの娘、可愛くね?
――しかも、なんかエロいぞ……
――大学生かな?でも学内で見たことないけど
大学生の集団が鈴音を見て、盛り上がっている。それだけでなく、独り身の男たちも鈴音へと劣情の目を向けていた。
(マズイ人が多くなってきた)
隼人は彼女の腰に手を回して無理やり歩かせる。
「こい」
「わ、分かったわ」
そして隼人は近くにいるタクシーの元へと向かって、熱でも出たかのように息切れをしている鈴音と共にホテルへと戻った。
****
部屋に着いた隼人は鈴音にベッドへと押し倒された。コートのままであった隼人の服を脱がせながら自身の服も器用に脱ぐ。脱がされることが好きな隼人は大人しく彼女を見つめる。それもまた鈴音の興奮材料にしかならない。それを理解した上でニヤニヤと見つめるのだ。
「綺麗だよ……」
「……誰かさんに沢山跡を付けられたわ」
鈴音の胸の周辺には数ヶ所赤い斑点が見られる。それは隼人が付けたキスマークである。それを鈴音は嬉しそうな表情で撫でる。
「今日は鈴音さんに動いて貰おうかな?男を楽しませるのも妻の仕事だろ?」
「……本当に性格の悪い夫ね。いいわよ、直ぐに果てても知らないわよ?」
「それはどうかな。俺の予想だと鈴音さんが先に降参すると思うけどね」
「言ってくれるじゃない……私だって貴方の好きな場所を沢山覚えているのだから覚悟しなさいっ!」
そしてやる気に満ちた鈴音は、自分で動いて隼人を受け入れる。それでも、やはり隼人の予想通り懸命に頑張ったが数時間後には降参してしまう。それでも参っている彼女を更に追い詰めるように隼人は快楽漬けにする。
そして、いつの間にか早朝になっていた。
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