第71話 美沙とお風呂
「ほんと、ごめんね。私が気持ちよくなりすぎて、勢いよく出しちゃって……」
美沙は申し訳なさそうにしながら隼人の背中を洗っていた。
(俺はどうして風呂に……それも美沙と一緒に……)
風呂場なのだから当然互いに裸であり、辛うじて隼人はタオルで自身の股間を隠しているが美沙は隠すつもりもないのか隼人へ全身を余すことなく見せていた。
先ほどのベッドで体液をかけたからの彼女は羞恥心を何処かに放り投げてしまったのか、まるで照れる様子もなかった。熟練の風俗経験者のような風格すら感じるほどだ。
「い、いや、別に……。それよりいいのか?俺と一緒に風呂に入るだなんて」
「え、全然いいよ?それどころか毎日一緒に入りたいくらい♪」
「え、あ、そうですか……」
「うん。でも、私がお風呂に誘ったとはいえ、隼人さんが一緒に入ってくれるだなんて夢みたいだよ」
「お、俺だってあの時は、あまりの出来事で放心していたし……。それに……」
(あれは無理やり入らせたって言うんだろ……。俺が入らないなら、ずっと裸のままでいるだなんて……風邪を引いたらどうするんだ!)
美沙は余裕たっぷりな返答をする一方、隼人は声が裏返りそうなほど緊張していた。彼にとって肉親以外の女性と一緒にお風呂に入ることなど初めてなのだから当然であった。
いつもなら素直な美沙であるが今日ばかりは我儘っ子であり、隼人が先にお風呂に入れと言っても言うこと聞かず、それどころか豊満すぎる胸を揺らしながら室内を歩き回るのだ。
そこまでされるなら一緒にお風呂に入っても同じだろうと想像しての行動であったが、完全に美沙の思惑にハマっているような気がしていた。
「隼人さんって凄く背中大きいよね~」
「そうか?まぁ身長だって百九十センチ超えているから、大きいかもしれないな」
「うん。ほら、私と比べたら余裕で負けちゃうよ?」
――むにゅんっ。
「……ツ!お、おい、美沙さん……貴女もしや……」
「あれ隼人さん、どうしたのかなぁ~?」
とてつもなく柔らかい塊が二つが隼人の背中に密着した。
つきたてのモチを髣髴とさせる柔軟性と弾力、しっとりとした滑らかさ。
洗うためには力を込めなければならず、必然的に胸を強く押し当てられることになる。肩甲骨の辺りに感じる突起は、彼女の頂きである。
「ど、どうしたって……」
「はっ、んぅっ、あっ、んっ……擦れて、なんか変な声出ちゃった~」
「み、美沙、それ以上はマズイって……」
「マズイ~?ふふっ、隼人さんが好きな雨宮さんって人に配慮して私から手は出さないよ。でもね……」
「でも……」
「えへへ、隼人さんから迫られたら私は受け入れるつもりだからね♪例えそれが何処だろうと」
「そ、そうですかっ!」
動揺の余り甲高い声を出してしまう隼人に、美沙はくすくすと可愛らしく笑った。
「それじゃあ、そろそろ前洗おうっか!」
「……頼むよ」
「ふふっ、随分と素直だね。いい子だよ♪」
(美沙が襲わないというのだから本当に俺を襲うつもりはないのだろう。それに、ここで拒否すれば後々面倒になるのは明白だ。それに美沙だけ全裸見せて俺が見せないなんて等価交換じゃないだろう?)
隼人は股間をタオルで隠したまま後ろに振り返る。そこには高校生離れした豊満な胸と美沙の類まれなる容姿。髪が濡れており、また違った色気を感じさせる。そして慈愛に満ちたような母性を感じさせる笑み。
全てが隼人を魅了させた。
美沙がチラリと隼人の股間に目を向けてから、上の方を舐めるように視線を上げていく。
「……ビックリ。隼人さんスッゴイ筋肉……胸筋も大きいし、腹筋もバキバキに割れている……」
「そ、そりゃあ、趣味が筋トレだったからな」
「それでも凄いよ。隼人さんの努力の積み重ねを感じさせる体だもん」
「あ、ありがとう……」
「うん……」
美沙は隼人の胸あたりに顔を埋めるように密着する。体重を掛けられたので隼人が背中に手を回して支える。
「ど、どうした……」
「あ、ごめんね。あまりにエッチすぎてクラクラしちゃった」
「そ、そうか」
「よいしょっと。それじゃあ、お客さんの体洗いますね♪」
美沙は隼人の右太ももの上に跨るようにして座る。だから彼自身の全神経がソコへと集中してしまう。
(なんだろう……水じゃない。粘着質な液体が俺の太ももに……)
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