第11話
………2人きり…って。
ドキン…ドキン…
不規則な鼓動が鳴り止む前に、背後の空気が動く気配を肌に感じ取った。
と同時に、真横から鼻先を掠める甘い香りが漂って来る。
え…真横?
………―──ガタッ……
確認するより早く、彼はあたしの隣の椅子に腰を降ろしていた。
どうして…?
確かに入り口からは近いけど、他にもいっぱい席は有るのに。
何よりこの部屋は座席の間隔が狭いから
もう肩が触れてしまいそうな程に2人の距離が近かったから。
どうしよ…。
本当にどうすればいい…?
お互い言葉を交わさない沈黙が壁となって重たくのしかかって来る。
意識し過ぎかもしれない。
けれどこの静かな場所は、耳を澄ませばお互いの心音までもを運んでしまいそうで
緊張も動揺もあった。
けれどこれじゃあ彼に一瞬にして心を乱された自分を、本格的に認めざるを得なくて
…―――悔しかった。
さっきまで空いていた筈のお腹も、胃がキュッと縮んでしまって今は何も感じない。
そんな自分を誤魔化すように、あたしはコンビニ袋に手を掛ける。
その仕草に身を隠しながら、あたしの目はまた彼に釘付けになっていた。
彼は煙草を唇にあてる瞬間で
──……綺麗。
整った横顔。
何処か遠くを見据えている瞳。
細くて長い指まで、視界に入る全てが本当に綺麗だと思った。
不意に彼が首を傾げあたしの方へと目を向ける。
やばっ!
そう思った時には遅かった。
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