3. ゲテモノ漁り

 街の警察署に、通報があった。

 

 ある一軒家から、何か獣のような生き物の叫び声。

 それと腐臭。


 妻夫木つまぶき刑事は、決して綺麗とは言えない一軒家へと、突撃した。


(殺人、虐待、死体遺棄、か? とんでもない凶悪犯に違いない。全く、どうしてこんな日に限ってみんな非番なんだ!)

「警察だ、手を上げろ!」


 部屋からは通報通りの腐臭が目に見えそうな濃さで漂う。


(臭いだけじゃない。なんだか……けむたいぞ! 毒ガス、かもしれない!)


 住人がいた。

 女性が一人、家具の少ないリビングに棒立ち。


 女性は逃げも抵抗もしないが……


(ん? 女が、一人。)


 別な気配があった。


 悪魔のような何かが、妻夫木刑事に襲いかかった。


 その何かは、生きているのか生きていないのかわからないような声色で、泣き叫んだ。声色は多種多様。と呼ぶのが正しい。複数体。


 目のないもの

 口のないもの

 顔がないもの

 顔から手が生えたもの

 腕に歯が生えたもの


(何だ! こいつらは! くそっ、離せ。来るな! これは、何、なんだ——)


 妻夫木刑事は気を失った。

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