パート11: スキルポイントの行方

翌朝、俺は久しぶりにぐっすりと眠れた満足感と共に目を覚ました。

窓から差し込む光が眩しい。


(ん……体、軽いな)


昨日の激闘が嘘のように、体の痛みや重だるさはほとんど消えている。

これもレベルアップのおかげだろうか? それとも、ただ単によく眠れたからか?

まあ、どっちでもいい。体調が良いのはいいことだ。


俺はベッドから起き上がり、簡単な朝食(固いパンと干し肉だけど)をとりながら、昨日の夜に確認した【システム】ウィンドウの内容を思い出す。


(レベル4になって、HPもMPも増えた。新しい便利スキルも二つ覚えた。そして、残るはスキルポイント5…)


この5ポイントをどう使うか。それが問題だ。


(選択肢としては…戦闘スキルだよな、やっぱり)


【片手剣術】は今Lv2。【盾術】もLv2。【パリィ】はLv1で、【シールドバッシュ】は昨日の戦闘中にLv2にしたばかり。


(ラットキング戦を思い返すと…やっぱり、攻撃力がもう少し欲しかった場面があったな)


ナイトソードは確かに強力だけど、ラットキング本体にはなかなか有効打を与えられなかった。

【片手剣術】のレベルを上げれば、威力も上がるはずだ。

Lv2からLv3にするのに必要なSPは…確か4だったはず。


(【盾術】を上げるのも捨てがたいけどな…防御はいくらあっても困らないし)


これもLv3にするにはSP4が必要か。


(あとは【パリィ】か…Lv1からLv2にするなら、SPは3くらいで足りるかな? パリィがもっと成功しやすくなれば、戦闘はかなり楽になる)


うーん、悩むな…。

攻撃力を取るか、防御力を取るか、それとも技術(パリィ)を取るか。


(…いや、やっぱり攻撃力だ)


ラットキング戦では、結局、相手の防御を貫いてダメージを与える手段が必要だった。

それに、早く敵を倒せれば、結果的に受けるダメージも減るはずだ。

パリィは重要だけど、まずは基本的な攻撃力を底上げしよう。


(よし、【片手剣術】をLv3にする!)


決断したら、行動は早い。

俺は再び【システム】ウィンドウを開き、スキルポイントを割り振る。

【片手剣術 Lv2】の項目を選択し、SPを4ポイント投入する。


『【片手剣術】のレベルが3に上昇しました』


ウィンドウに表示されたメッセージと共に、なんだか右腕が少し軽くなったような、剣の扱いがよりスムーズになったような感覚がした。気のせいかもしれないけど。


(これでSPは残り1ポイントか。これはまた今度、何かに使うとしよう)


スキル強化も完了した。

後は…


(そうだ、アカリさんとの約束!)


時計を見ると、もう昼に近い時間だ。

待ち合わせは昼過ぎ。そろそろ準備を始めないと。


俺は慌てて身支度を始めた。

昨日汚れた装備は…さすがにこのままじゃまずいよな。

宿の主人に頼んで、少し綺麗にしてもらおうか?

いや、時間がないか。せめて、目立つ汚れだけでも拭き取っておこう。

何を着ていくか、なんて考える余裕はないけど、せめて清潔感だけは…!

俺は少しだけソワソワしながら、アカリさんとの約束の場所へ向かう準備を進めた。

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