パート10: 異次元収納、アイテムボックス!

(鑑定スキルがこれだけ凄いんだ、アイテムボックスも期待できるぞ!)


俺は興奮冷めやらぬまま、次の新スキル【アイテムボックス(小)】に意識を集中した。

これも、念じればいいのか?


(【アイテムボックス】、オープン!)


心の中でそう唱えると、目の前の空間がわずかに歪み、システムウィンドウとは別に、黒い靄のようなものが渦巻く小さな四角い『穴』が現れた!大きさは…一辺が30センチくらいか?


(うおっ!? なんだこれ!?)


これがアイテムボックス…? 異次元空間か何かに繋がってるのか?


(試しに何か入れてみよう)


俺は手元にあった、さっき鑑定した『魔石の欠片』を一つ掴み、おそるおそる黒い穴に近づけてみる。

すると、欠片が穴に触れた瞬間、スッと音もなく吸い込まれて消えた!


(消えた!? 入ったのか!?)


驚いて穴の中を覗き込もうとしたが、中はただただ真っ暗で何も見えない。


(じゃあ、取り出す時は…?)


どうすればいいんだ?

また念じるのか?


(取り出し! 魔石の欠片!)


そう念じると、今度は黒い穴からポンッと軽い音を立てて、さっき入れたはずの魔石の欠片が飛び出してきた!

俺は慌ててそれを受け止める。


(すげええええええ!! 本当に出し入れできる!)


感動だ! これは革命的すぎる!

これがあれば、重いバックパックを背負わなくても、たくさんのアイテムを持ち運べるじゃないか!


(そうだ、あのサーベルも入れてみよう!)


俺はバックパックから、予備として入れておいた古い『疾風のサーベル』を取り出した。

これも入るだろうか?


(収納!)


サーベルを黒い穴に近づけると、これも同じようにスルスルと吸い込まれていった。

剣のような長いものでも問題なく入るらしい!


(取り出し! 疾風のサーベル!)


念じると、再びサーベルが穴から現れた。

完璧だ!


(ただ…気になるのは、この『(小)』って部分だよな)


やっぱり、容量には限りがあるんだろう。

見た感じ、この黒い穴の大きさ自体が変わるわけじゃなさそうだし…入れられるアイテムの数か、あるいは総重量に制限があるのかもしれない。


(まあ、今はそれでも十分すぎる!)


バックパックがパンパンになるほどドロップ品を拾っても、これがあれば安心だ。

予備の武器や、普段使わないけど持っておきたい道具なんかも入れておける。

探索中の重量が減れば、それだけ動きやすくもなるし、スタミナの消耗も抑えられる。


(【鑑定】と【アイテムボックス】…この二つのスキルだけで、俺の探索者としての活動は劇的に変わるぞ!)


戦闘スキルだけじゃない、こういう補助スキルもめちゃくちゃ重要なんだな。

レベルアップして、本当に良かった!


(さて、興奮してないで、そろそろ寝ないと…)


明日はアカリさんとの約束もある。

新しいスキルの確認はこれくらいにして、今日はしっかり休んで、明日に備えよう。

俺は【アイテムボックス】の穴が自然に消えるのを確認し、満足感に包まれながら、今度こそ本当にベッドに潜り込んだ。

すぐに深い眠気が襲ってきた。

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