パート8: 一騎打ちと完全勝利
「貴様ァッ!」
ショートソードの男が、怒りに顔を歪ませながら突進してくる!
その剣筋は速いが、先ほどの連携時のような冷静さはない。
怒りに任せた、荒っぽい斬撃だ。
(分かりやすい!)
俺は落ち着いて相手の動きを見極める。
大上段からの振り下ろし!
(【パリィ】!)
サーベルで剣の腹を受け、斜め後ろへと力を流す!
キィン! と音を立てて、ショートソードが大きく弾かれた!
「なっ!?」
男が驚愕の声を上げる。
相棒を打ち破ったスキルを、こうも簡単にあしらわれるとは思っていなかったのだろう。
(隙だらけだ!)
がら空きになった胴体へ、素早くサーベルを突き出す!
「ぐっ!」
男は咄嗟に体を捻って致命傷は避けたが、脇腹に浅くない傷を負ったはずだ!
「こ、このガキがァ!」
男は後退し、距離を取る。
息が荒くなっているのが分かった。
焦りと、もしかしたら俺に対する恐怖も感じているのかもしれない。
(もう主導権は渡さない!)
俺は追撃の手を緩めない。
軽やかなフットワークで距離を詰め、サーベルで連続攻撃を仕掛ける!
シュッ! シュシュッ!
『疾風のサーベル』の軽さが、ここでは大きな武器になる!
男は防戦一方だ!
ショートソードで俺の攻撃を受け止めるのが精一杯で、反撃の隙がない!
カン! カン! カキン!
金属音が連続して響き渡る。
男の額には汗が滲み、その目には明らかに焦りの色が浮かんでいた。
(そろそろ限界か…?)
男の動きが、さらに鈍くなってきた。
受け太刀も、徐々に甘くなってきている。
(決める!)
俺は一度大きく距離を取り、男が追撃してくると見せかけて――フェイント!
踏み込むと見せて、逆にバックステップ!
「!」
男は俺のフェイントに釣られ、前のめりになる!
最大の隙が生まれた!
(終わりだ!!)
俺は体勢を崩した男の懐に一気に飛び込み、サーベルを逆袈裟に斬り上げた!
ザンッ!!
「が…はっ……!」
男の胸から腹にかけて、深い斬撃が走る!
鎧ごと切り裂かれたのだろう、夥しい量の血が噴き出した!
男は信じられないといった表情で自分のみぞおちを見下ろし、そして、ゆっくりと前のめりに崩れ落ちた。
地面に倒れると、もうぴくりとも動かない。
「…………はぁ…はぁ……」
戦闘不能。いや、もしかしたら…。
俺は荒い息をつきながら、倒れた二人を確認する。
最初に倒したダガー使いも、脇腹を押さえて蹲ってはいるが、まだ息はあるようだ。
だが、ショートソードの男は…。
(……勝った)
どちらにせよ、俺は勝ったのだ。
手練れと思われる二人組を、俺は打ち破った。
じわじわと、安堵感と、それ以上の強烈な達成感が全身を支配していく。
オークを倒した時とはまた違う、対人戦闘での勝利。
自分の力が、確かに通用したという証明。
(やった…俺、本当に強くなったんだ…!)
震える手でサーベルを握りしめる。
もう、昔の俺じゃない。
俺は、自分の力で運命を切り開いていける!
そんな確信が、胸の奥から湧き上がってきた。
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