第43話 凱旋

「この塔をクリアできるほど強くならねば、ゾグアスに勝つことなんてできないだろうな。あの頃は塔をクリアする前にゾグアスが襲来して、結局塔のクリアはできなかったからな」


 とにかく、【紅い運命】を装備しよう。

 俺は自身の右眼を抉り取り、【紅い運命】を装備する。視界良好、完璧だ。


「これでオッドアイになったな。厨二時代だったら、大喜びだったな」


 肉体こそ16歳だが、精神的に俺は37歳だ。

 故にオッドアイでは興奮しない、大喜びなどしない……ワケではない。大人になっても、心の厨二は消えない。故に俺は内心、喜んでいる。


 ただ俺も大人なので、態度では表さない。

 本心は小躍りしたいほど嬉しいが、決して態度では表さない。大人だから、心の中でしか喜びを表現しないのだ。


「さて、そろそろ帰るか」


 帰還ゲートに潜り、俺は帰還した。



 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆



 帰還後、俺は塔を囲む警官や自衛隊、その他能力者の注目を浴びた。そして事情徴収を受けることになってしまった。


 塔であったこと、内部の難易度。

 その他諸々、様々な質問をされた。

 当然、俺はそれらに答えた。


 さらに俺からも、様々なことを教えた。

 塔の攻略には、制限時間があること。

 ソレを越えてしまえば、魔物が流出すること。そして、塔は難易度が強いこと。

 

 塔に関する様々なことを教えると、彼らは驚いていた。そして政治家や偉い人たちは、俺の話を聞き終えると……すぐさま部屋を去っていった。おそらく会議などを行うのだろうが、せめて感謝を伝えてほしかったな。


 そして、俺は記者会見も受けた。

 前回同様に武者小路凛花むしゃのこうじりんかさんや氷霜雪菜ひょうそうゆきながほとんどの質問に答えてくれたが、やはり……記者会見は慣れないな。無駄な質問ばかりしてくる記者のことが、どうしても好きになれない。


「……疲れた」


 帰宅早々、ベッドに横になる。

 現在時刻は深夜2時。

 さっさと帰って寝る予定が、こんな時間になってしまった。記者会見は中身が無い上に、長いから嫌いなんだよな。


「土日があっという間に、終わってしまったな」


 塔の攻略で、土曜日は終わった。

 記者会見塔で、日曜日は終わった。

 あまりにも早く、そして勿体ない休日だ。


「明日は学校だし……さっさと寝るか」


 起きるのは朝7時なので、残り5時間しか眠ることができない。俺は普段は10時間以上寝なければ、頭がボヤボヤする体質なので……ツラい。


「はぁ……疲れた」


 ため息を溢して、俺は眠った。

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