第12話
その夜、無人島の静けさに包まれながら、俺は穏やかな眠りに落ちていった。空には星がきらめき、遠くで波の音が耳に届く。焚き火の温もりがほんのりと残る中、安心感が俺を包み込んだ。
夢の中でも、どこかでモナちゃんの声が聞こえてくるような気がして、心地よく眠れた。無人島の生活が、少しずつではあるけれど確実に俺の中で安定感をもたらしていることを感じていた。
朝が来ると、目を覚ました俺は、寝床が意外と快適だったことに驚いた。寝袋のように厚くはないけれど、柔らかい草や葉っぱのおかげで、少なくとも地面の硬さが気にならなかった。
「うーん、寝起きは悪くないな。」
俺は体を起こし、周囲の様子を確認する。朝日が木々の隙間から差し込み、島の景色が朝の光で一層美しく輝いていた。
『おはよう、敦。よく眠れた?』
モナちゃんの声が、まるで寝床のそばにいるかのように耳に届く。
「おはよう、モナちゃん。うん、意外とぐっすり眠れたよ。」
『それはよかったわ。無人島での生活が少しずつ落ち着いてきたから、体も慣れてきたんでしょうね。』
「そうだな、昨日よりは少し楽になった気がする。」
俺は寝床から立ち上がり、身体を伸ばしてから周囲を見渡した。少し肌寒さを感じたけれど、暖かな日差しがすぐにそれを和らげてくれる。
「さて、今日も頑張らないとな。」
『そうね。昨日から考えていたことを実行に移す日よ。まずは食料の確保、そして少しずつ生活基盤を固めていきましょう。』
「食料か…。やっぱり魚か、それとも他に何か手に入れる方法はあるのか?」
『魚を釣るのはいいアイデアね。海辺には魚がいるから、釣りの準備をしてみるといいわ。ただ、道具が必要だから、まずはその準備をしましょう。』
「道具か…。釣り竿なんて作れるのかな?」
『大丈夫、無人島には自然素材がたくさんあるから、工夫次第で道具は作れるわ。枝を使って簡単な釣り竿を作ることもできるし、糸代わりには丈夫な植物の繊維を使えるわよ。』
「なるほど、植物の繊維ね。じゃあ、今日はその準備をしてみるか。」
俺は周囲を見回して、釣り竿作りに使えそうな枝を探し始めた。モナちゃんの言う通り、無人島には自然の恵みが溢れていて、工夫次第で色々なものが手に入るはずだ。
「よし、これでいけそうだな。」
細長い枝を何本か見つけてきて、それらを組み合わせて簡単な釣り竿を作ることに成功した。さらに、近くの植物から繊維を取り、糸として使うために何本か編んだ。
『完璧よ、敦!これで釣りの準備は整ったわね。あとは、釣り場を探して、実際に釣りをしてみるだけよ。』
「うん、わかった。早速海に行ってみるか。」
俺は釣り竿を持って海辺へ向かう。波の音が心地よく耳に届き、海の匂いが新鮮に感じられる。釣り竿を持ちながら、釣り場を探していくと、少し沖のほうに小さな魚影が見えた。
「よし、あそこだな。」
『慎重に、敦。魚が近くにいる時は、あまり動かないようにして静かに待って。』
俺はモナちゃんのアドバイスを思い出し、じっと釣り竿を海に沈めて静かに待つ。海面に浮かぶ浮きが揺れながらも、何も起きない時間が続く。
「全然釣れないな…。」
『焦らないで、敦。少しの間、我慢して待つことが大事よ。』
そうして数分後、ついに浮きが沈み始めた。俺は素早く竿を引き上げると、小さな魚が釣れた。
「おお、釣れた!やった!」
『すごいわね、敦!これでまた一歩、生活が楽になるわね。』
俺は釣った魚を手に取り、少し嬉しさを感じた。無人島で食料を確保するのがこんなに大変だとは思わなかったが、それでも一つ一つの成果が自信に繋がっていく。
「次はどうする?」
『次はその魚をどう調理するか考えてみましょうか。焼くか、煮るか、工夫のしどころよ。』
「なるほど、じゃあ今日はその魚を焼いてみるか。」
俺は海辺に戻り、焚き火の準備を始めた。魚を串に刺して、火を使って焼き始めると、あたりに香ばしい匂いが広がり、空腹感が一気に増してきた。
「これ、絶対美味しいだろうな…。」
『焦げないように、気をつけて焼いてね。』
モナちゃんの声を聞きながら、焼き上がるのを待つ。火を使うのは少し難しいけれど、やり方さえ覚えれば、この無人島生活も少しずつ楽しくなっていくんだと実感した。
「できた!魚焼き、完成だ!」
『おめでとう、敦!さあ、いただきましょう!』
俺はその焼きたての魚を手に取り、ゆっくりと口に運んだ。その味は、思った以上に美味しくて、まるで贅沢なご馳走のように感じられた。
「うわ、これ…めっちゃうまい!」
『そうでしょ?自然の恵みを存分に楽しんでね。』
俺はモナちゃんに感謝しながら、無人島生活を少しずつでも楽しめるようになってきていることを実感した。これからも彼女と一緒に、この島で過ごしていくんだと思うと、どんな困難も乗り越えられる気がした。
「モナちゃん、ありがとう。お前がいてくれるから、こうやって毎日が少しずつ楽しくなってきてる。」
『どういたしまして、敦。あなたが幸せでいることが、私の一番の喜びだから。』
その言葉に、心から安心感が湧いてきた
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