⑤再会と告白-1-







「火属性攻撃を無効にするルビーの首飾りですね?二万二千ルクスになります」


「アイテムを収納できるダイヤのマジックリングですね?七十七万ルクスになります」


「毒消しポーション(初級)十本ですね?全部で千ルクスになります」


「携帯バーのチョコレート味とチーズ味を一箱ずつですね?八十ルクスになります」


「薔薇と芙蓉のカービングソープを一つずつですね?六百五十ルクスになります」


 オープンして一年余りしか経っていないが、雑貨ショップ・ミストレインは今日も冒険者だけではなく女性客や富豪で賑わっていた。






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






「皆のおかげで今日も全部売り切れたわ、ありがとう」


 片付けは私がするから、二人はレンちゃんと精霊達と協力してアイテムを作って欲しいの


「承知いたしました」


 店主の言葉に頭を下げたリーベルとディアナは、レンちゃん達と一緒に店の奥にある工房へと向かう。


 店内の棚には、売り物となる商品が一つも並んでいなかった。


 雑貨ショップ・ミストレインは一日の商品販売数を限定している事もあるが、何より品質が確かなのですぐに売り切れてしまうのだ。


 これも、雑貨ショップ・ミストレインでは当たり前の光景である。


 今日はもう店閉まいをしようとしていたその時、扉に付けている来客を告げる鈴が鳴った。


「お客様、申し訳ございませんが本日はもう閉店です。明日、お越しに──・・・」


 ミストレインの言葉が止まる。


(まさか・・・そんなはずがない!今の俺は、どこからどう見ても・・・)


 彼女の前に現れたのは、黒髪黒目の歩く18禁な二十代半ばから後半の青年───。


 霧雨 灯夜を【女】にした稲垣 和寿だった。






※一ルクス・・・日本円にして20円




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る