第3話

こんなちょっとした冗談にさえも、乗ってくれないどころかピクリとも表情を動かさないで、そのくせ苛立ちだけはしっかりと伝えて来る。


ーーそのくらい

雪ちゃんは、私のことを別に好きでもなんでもないのだ。


そしてさらにやっかいなことに、おそらく私は嫌われてもいない。いっそ嫌われていたら、こんな風に強引な誘いに振り回されることもなかっただろうに。




「雪ちゃんってラーメンとか好きだったっけ」



「別に」



「別に?別に好きじゃないの?好きじゃないのにラーメン食べに行くの?わざわざ私誘って?雪ちゃん私のこと好きなんじゃない?」



「は?」



「冗談ですってー」




容赦なく胸ぐらを掴まれて、私は慌ててとぼける。

雪ちゃんは私に負けず劣らず無表情なので、今だって少し口角を上げてるだけの無表情…というか、雪ちゃんは目が笑わないのだ。それが怖い。


お前ほんとウザい。そう吐き捨てて胸ぐらから手を引く。

それなら私を誘わないでほしいと思ったけど、言うとまた胸ぐらを掴まれる未来が見えたので大人しく口を閉じた。


雪ちゃんとはそんなに長い付き合いではないけど、私の雪ちゃんの苛立ちを読む予知スキルはかなりの精度を誇る。なぜなら、恐らく過去の女達なんて話にもならないくらい、私がダントツで雪ちゃんをイラつかせてきたからだ。


私と雪ちゃんの相性は最悪ということで間違いない。

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