第17話 まとめて倒す
「かかれ! こいつら4人、嬲り殺しにしてやれ!」
ギルド長の合図とともに、冒険者や兵士たちは全員武器を手に取り俺たちを囲む。
数百人に囲まれた状況になった。
「もう謝っても降伏しても無駄だぞ! お前ら全員ぶっ殺して、街に晒して街の奴らへの見せしめにしてやるわ!」
「そうかよ。できもしないことをわざわざ語ってくれてご苦労さん」
「できもしないことだと!? そんなわけ……」
「できないよ。その証拠に、お前らは俺達に近づけないはずだ」
なぜなら、俺が結界を既に貼っているからな。
ここに来た時点で、敵が俺達4人の近くに来れないように俺は結界を作成していた。
外からの侵入を防ぐという効果をつけた結界だ。
これで有象無象が何百人集まろうと、俺達に危害をくわえることはできない。
実際に、冒険者や兵士たちは俺達に近づこうとしているが、結界により作られた壁に阻まれて失敗している。
「な! 入れねえ!」
「見えない壁に阻まれる!」
「クソ! 魔法も効かないぞ!」
冒険者や兵士たちがどんどんと壁を叩くが、それをしても意味はなかった。
武器を叩きつけても、魔法を使っても、一向に壁が壊れることはない。
Sランクスキル『結界神』で作られた結界だ。
少なくとも同ランクのスキルがなければ壊すことはできない。
これを壊せるのは、世界で同じSランクを持つ俺くらいなものだろう。
「おい。お前ら何をしている。こんな奴らごときに……!」
状況が変わったことを察してか、ギルド長も顔色を変えて焦り始める。
先ほどの下卑た発言からのその焦りように思わず笑ってしまう。
とはいえ、その焦っている様子を面白がっていつまでも眺める必要もない。
「な、なあ。これは一体どういうことだ? レースケ殿か、あるいはアイナ殿やラティカ殿が何かしたのか?」
「俺がやったことだよ。結界を張って全員の侵入を防いでいるんだ」
「そ、そんなことまでできるのか……。君は本当に万能だな」
目を見開いて感心するレベッカ。
「しかし、結界で侵入を防いだのはいいが、このままでは私たちも外に出れないのではないか?」
しかし、感心したその後に彼女は懸念を示す。
「不可侵の結界を張って、このまま持久戦に持ち込む気か? しかしその狙いは良くないぞ。時間が経つことによって領主側は戦力を整えることができるが、私たちは時間経過と共に疲労がたまっていくからな。せっかく結界を張ってくれた君には悪いが、正直言ってこれは悪手だ」
「別に持久戦なんてするつもりはない」
もちろん。
俺はすぐにでもこいつらをたおすつもりだ。
そもそも結界を張ったのも、こいつらの侵入を防ぐという目的で行った行動ではない。
「3人とも。威力の大きい魔法を使うから、注意してくれ。結界によって守られているが、それでも激しい音と光がでるからな」
「承知した」
「かしこまりましたご主人様」
「え? え? 何をするんだ?」
アイナとラティカは俺の言葉にうなずくが、レベッカは混乱したままだ。
「電撃だよ。怖いなら目をつむって、耳をふさいでいろ」
「サンダーボルト」
俺は魔法を発動する。
サンダーボルトは、サンダーショックよりもずっと威力の大きい電撃系の魔法だ。
普通の魔術師が使った場合でも人一人殺す程度の威力はある。
俺が使った場合には、一人どころか複数の人間をまとめて殺すほどの威力はある。
この電撃によって俺達が被害を受けないようにするために結界を張ったのだ。
大きな音と光を伴い、冒険者や兵士たちの間を雷が駆け抜けていった。
「ぎゃああああああ!」
「あばばばばば!」
「や、やめ――」
兵士も冒険者も、全員まとめてサンダーボルトの電撃を食らう。
数百人もの人数がいるから、電撃は分散して威力は減衰する。
全員を殺すことはないだろう。
しかし生き残るのは半分といったところだろうか。
その生き残った半分も、これだけの大電流を食らってその後まともに生きていけるとは思えない。
「きゃああああああ!」
ちなみに、その音と光に驚いてレベッカとアイナも悲鳴を上げていた。
可愛い悲鳴をあげているな……。
ラティカも悲鳴こそあげてはいないものの、びくんと驚いている。
サンダーボルトの攻撃が終わる。
電撃は分散はしたものの、かなりの高威力だった。
「死屍累々だな」
サンダーボルトによって半分が黒焦げで死亡し半分が痺れて半死半生といったところだった。
「あ、あああ……」
電撃が終わった後、レベッカはペタンと地面にへたり込んで放心していた。
「大丈夫?」
「だ、大丈夫だ。ちょっと驚いただけ……」
ギギギと首を動かしてこちらを見る。
「そ、それにしても君はあれだな。すごいな。うん。もうすごいとしか言えない……」
「それはどうも」
「はは、本当に。規格外だ。はは……」
レベッカは笑っていたが、その笑顔は引きつっていた。
「やっぱびっくりしちゃったか。もう少ししっかり注意してあげればよかったかな」
「いや主殿よ。これはもう注意とかいう次元ではないと思うぞ。というか平然としている主殿がおかしい」
「え? そう? まあこれくらいは平気だと思うけど」
実際に電撃くらったわけでもないし。
音と光は刺激は大きいが、まあ来るとわかっていたら問題ないと思う。
その考えを聞いた3人は絶句していた。
「ご主人様の豪胆さは私のような凡人には推し量ることなどできないのですね……」
「そうか。主殿そういう存在であったな。うん。我も最近忘れかけていた。反省」
「レースケ殿は、本当に規格外だな……」
3人からの評価は、これ褒められているのかな?
うん。褒められていると思っておこう。
ひとまず俺は、外に出られるように結界を解除した。
ちなみに、ギルド長は黒焦げになっていた。
威力が減衰していたとはいえ、あの電撃を生き残れるほど強くはなかったらしい。
「あ、これまずいか? もしかしてギルド長から情報とか引き出せたりした?」
「別にかまわない。彼らの行いについては、ギルドに行って証拠を押収すればいい。それに領主が生きていれば、そこから情報を引き出せる」
俺の疑問にレベッカが答える。
「じゃあ次は領主を捕えないとな」
「今の音と光で領主も警戒している。逃げられる可能性もあるだろうから、急がねば」
ということで、俺達は急いでかけ、領主の屋敷へと足を踏み入れることとなった。
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