Ⅲ-10
「礼ちゃんは何飲むん?」
キッチンから声をかける凪。
「ん、珈琲、牛乳入り砂糖多めで。
…あ、またキャラ壊れる、
…やっぱりブラックでお願い」
そう言って礼花は空いているソファに腰掛けた。
「…別に無理してキャラ作らんでええで?」
「いいの、このキャラでいきたいの。
…で、何か聞きたいこと有る?」
詩樹に向かう礼花。
「…何故屋上にトラップが?」
「それは、元は前校長に依頼されたから。
校舎の屋上にトラップを設置してくれって。
前校長は凪の技術を買っていて、
前から乱れていた屋上の扱い方を
正す目的で設置されたの。
それを凪が面白がってどんどんエスカレートしていったの」
「それで立入禁止になったと」
(俺空気から脱出)
「そうよ。そして調子に乗った凪が
『寮の屋上にちょっとしたアトラクション作らへんか?』
って言って、
"トラップ解除ゲーム"を作ったのよ」
「…………」
「なる程、全ては凪が調子にのったせいだ、と」
「そうよ」
「お待たせ~」
凪がテーブルに飲み物の入ったコップをお盆に乗せて持ってきて、
真っ先に礼花の前に置く。
礼花はそのコップを手に取る。
「ありがと。
…ブッ!」
礼花は一口飲んだ瞬間綺麗に吹き出した。
「けほっけほっ…凪!ちょっとこれ、カボチャジュースじゃない!」
「……気づくだろ」
「ほんまや。色と匂い違うやろ。
あと何やウチが悪いみたいな言い方して!
一番ノリノリやったんはあんたやろ!
寮の屋上に作ること提案したんも、
ウチが作った仕掛けに魔法かけて
本来無い効果を付けたんも、
トラップ設置をしたんもあんたやろ!
ウチだけが悪いんちゃうやろ!」
「と言うことは、二人が共犯って事で?」
「う...、そうやな...。
取り敢えずウチやなくて礼花が主犯なんや。
それをウチが悪いみたいに...。
もうええわ、そういうことやな。
今日からカボチャピーマン茄子キムチ料理が毎日食べたいって事やな礼花ぁ!
あ、茄子と辛いの合いそうや。
今晩は"激辛!茄子とピーマンのキムチ炒め"や!!」
「……麻婆茄子+青椒肉絲-肉みたいだな...。
…今度試すか」
「まあまあうまそうだな」
「えぇえ!!あゎぁぅわそれだけは、
それだけはお許し下さぁいぃ...」
礼花は泣き崩れた。
「キムチも嫌いなのかよ...」
「他に言う事は?」
「ごべんなざぁいぃ...」
「泣きすぎだろ...」
「……北崎先輩、
……あなたはキャラ…性格を複数持っていて使い分けている。
…違うか?」
「…え?」
ふと礼花は泣き止んだ。
「…ふぅ…ふふ、初対面で見破った人は初めてね」
落ち着きを取り戻す礼花。
「まーせやな。先生は3日かかってたのになぁ。
でも、礼ちゃんがカボチャピーマン茄子キムチ牛乳牛肉アスパラ海老鮪鰯もやし林檎スイカが嫌いなんはホンマやで」
「さり気なく増やしてる。
しかも嫌いなもの多ッ!
性格の事はさっきのやり取りを見てたら大体分かるだろ」
「………好き嫌いするな...」
「え?す、すいません。
って何で謝ってんねん!」
「凪のキャラでノリツッコミか」
「ちょいやめてそれ。
本人いるところで」
凪は礼花の隣に腰掛け、一息ついて詩樹のほうを向き直って、
「ん、じゃあ詩樹、本題に移ってええか?」
「……ああ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます