Ⅲ-9
――――――――――
学生寮5554号室
「よっ、おかえり」
「………」
部屋に入るとまだ午後5時では無いのに衛登が起きていた。
そして、床に色々な道具を広げて何かしていた。
「……何をしてる?」
「ん?さっき夢ん中で、
あれ?今寝たら夜寝れねぇんじゃねぇか?
って思って、起きた」
「………」
「ああ、何してるかだったな。
俺の魔力がお前の3倍って多いかもって思ってな、
これを作ってたんだ。」
そう言って衛登は持っている小さい輪を見せた。
「……指輪型の封印具か?」
「そ。…で今装飾をどうするか悩んでたんだ。
どうしたらいいと思う?」
「……………………………
……………好きにしろ」
「間が長かったな。
どうせ考えたけど思いつかなかったんだろ?
まあいいや、装飾無しで。
…今何時だ?」
詩樹は腕に付けていた時計を見る。
「………午後3時33分………33秒」
「5時半まで2時間か...」
「……ん?」
「ん?じゃねぇよ。忘れたのか?」
「………あぁ、トラップか。
………行かなくてよくないか?」
「行った方がいいと思うぞ?」
――――――――――
午後5時29分
学生寮5303号室前廊下
「……何故付いて来た?」
「え?面白そうだし。
それより時間だぞ」
「………」
コンコン、と詩樹は扉をノックした。
「ピーッ
アイコトバハ?」
屋上にあった機械と同じ様な音声が聞こえる。
「………トラップ……最高」
「ピーッ、カチャ」
と音がなると扉が少し開いた。
「もっとテンション上げて!もう一回や!」
中から合言葉の時のトラップ制作者らしき声がした。
「………」
詩樹は無視してドアノブをつかみ、扉を押し開けた。
「テンション上げて!もう一回!
……て、何で開けてるん?」
中にはニット帽をかぶりオーバーサイズのパーカーを着た、ラフな服装の女子がいた。
「………」
詩樹は扉を閉めて帰ろうとした。
「ちょ、ちょ待って~や。
帰らんといて、な?」
中の人は慌てて引き留める。
「来てくれてありがとう、正直トラップ解除しても来る人おらんくて寂しかったんや。
ウチは3-Aの菅原凪ってゆうんや。
まあウチは"凪"って言うよりも"嵐"やけどな!
凪って呼び捨てていいで。
で?あんたは?」
「………1-A渡邉詩樹」
「あんたテンション低いな~。
もっとテンション上げよ~や!
で?そっちの連れは?」
「同じく1-Aの神崎衛登だ。
詩樹とは同室だ」
「そうか。…ん…何かごちゃごちゃ地味な指輪と腕輪してんな~。
まあ、立ち話も何やし、部屋ん中入り~」
((…なんか初対面で駄目出しされた...))
半ば強引に詩樹たちは部屋の中へ入れられる。
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