第13話 やっぱ盛るよね

フェリスに別れを告げて目を開けると、辺りから全く音がしてこない。

辺りを見渡すと礼拝堂にいる人々が口を開け、目を見開いて女神像を見ていた。


俺もみんなの目線に釣られるように女神像を見ると、そこにあったのはいつも見ていたフェリス。

――多少盛ってたけどな。胸とか。


あの似ても似つかぬギラギラした像はなくなり、大理石のような素材で作られたシンプルな白い女神像があった。


――最初の「えぃ!」はこれか。まあでも白で統一している分、本物より神秘性があがってるな。悪くないんじゃないかな――

と心のなかで芸術コンテストの審査員のような批評をしていると


「って、ユーゴー!」


俺を見たハーミットが大声で叫ぶ。

それ、親父が作業するときよく歌ってたからな。「つんつんつん」とか言いながら。


「「「「「なんだこれーーーー!!」」」」」


ハーミットの叫びが合図だったようにみんなが一斉に声を上げる。

――ハモったな。素晴らしい。息もぴったりだ。うん。いい出来だったから帰るか。


そのままスタスタと教会を後にしようとしたところで先程のシスターに捕まる。


「ど、ど、どういうことでしょうか?」


チッ!捕まったか。ハーミットが叫んだとき、こっち見てたからな。


「さぁ、判りませんねぇ。何しろ教会にはじめてきましたから」

「貴方が祈った後、像と貴方が光りに包まれ、光りがなくなったらこうなってました」


――フェリス語解読にかなり時間かかったはず。向こうと時間はリンクして無いのか。


「なるほど、私は目を閉じて祈っていたので気づきませんでしたが、そんな状況だったのですねぇ」

「私はどうしたらいいでしょうか」

「さあ、ただの平民の私にはわかりかねます。ただ、あなたより少し長生きをしている人生の先輩として助言をするならば、上司や偉い人に相談することをお勧めします。報告・連絡・相談『ほうれんそう』は集団で生きていく中でとても重要な要素だと思いますよ」


キラキラした目で見つめられた。


「とてもすばらしい助言ありがとうございます。ほう・れん・そうですね。私がやるべきことが見えてきました」

シスターは丁寧なお辞儀をして、足取りも軽く奥に消えていった。


「おい!ユーゴ」


胡乱げな目で見つめるハーミット達がいた。


「そのスカした態度はやめてくれ。ものすごく胡散臭く見えるぞ」

「若者を導くのも人生の先輩としての使命ではあるのだよ」

「嘘くせーてか、あれなんだよ」


ガルルが女神像を指さしながら聞いてくる。


「あれが俺が知ってるフェリスさ」

「あれがそうなの。キレイね」


クローディアがうっとりした顔で女神像を見ていた


「胸以外はな…」小さくつぶやく。


「とりあえず出るぞ!」


ハーミットの言葉にみんな頷き教会を後にする。

教会を出ると、入れ違いで多くの人達が教会に向かうのが見えた。


宿の食堂までたどりつき椅子に座って机に体を投げ出す。


「ユーゴといると飽きねーなー」


ガルルがゲラゲラ笑いながら話すと


「ピカっと来て、ハッとしたら、グォンときた」


と言うセルジオに「お前はトシちゃんか!」と思わず突っ込みそうになった。


「ただこれで面倒な事になるかもしれない。ユーゴは戻ったほうがいい」


ハーミットの言葉にみんなが頷き、太陽がすこし傾きかけていたが森の家に戻ることにした。


行きより少し早い時間で家まで戻れたが、それでも辺りは真っ暗で冷凍チャーハンと冷凍餃子にビールで夕ご飯をすませ、その日はトレーラーハウスに泊まってもらった。

建て替えてもらったお金の代わりに、四リットルのウイスキーと溶かすスープ、それと日本に戻り買ってきたミスターなドーナッツ十個入り二ケースを渡すと、甘党のハーミットとフェリスは大喜びし、少しスネた辛党のガルルには二百五十グラム入りのお得用柿ピーをコッソリ渡すと喜んで戻っていった


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