異世界で女性奴隷審査官になった俺にヤンデレ達が付き纏ってくる話
うるちまたむ
第1話 異世界へ ─ プロローグ① ー
20才の秋。
少し肌寒くなった外気に嫌気が差しながらも大学へ向かっている途中、俺の意識は突然途切れた。
次に目を開けた時、俺の目の前には自分の事を『女神』───そう名乗る人物がいた。
その『女神』とやらが言うには、俺は現世で死んだらしい。
死因は、建設作業中のビルの上から鉄骨が落ちてきて、その下敷きになったのだそうだ……我ながら運がない。
しかし、本来であれば俺ではない別の人間が死ぬ運命だったらしい。
『女神』は、誤って俺を死なせてしまったことを大変に謝ってきた。
でも俺は別に現世に未練はない。
それに、今更騒いだところでどうにもならないのであれば、気にする必要はないとそう告げた。
しかし、『女神』はこのままでは神の名が廃る。
だから、どうにかお詫びをさせて欲しいと言って聞かなかった。
仕方なしに俺は渋々頷く。
すると『女神』は二つの提案をしてきた。
まず一つは、日本ではない別の世界で生きるのはどうか。
普通は死んだら必ず天国や地獄のような場所に行き、そこから転生をするのだそうだ。
しかし、その過程を完全にスキップ。
しかも今の記憶や知識・容姿などを引き継いだ状態での転生が可能なのだそう。
つまり、日本語も通じるし相手が喋った言葉も日本語として聞き取れるらしい。
なのでどちらかというと転生というより転移に近い。
そう『女神』は言った。
悩む必要がないくらいの好条件に、俺は迷わず同意すると『女神』は転生先のことに関して話し始めた。
その世界では魔法のようなものを“スキル”と呼び、それを駆使して生活しているらしい。
この世界の普通の人間はそのスキルを1つしか有していないので、そのスキル自体を鍛える事に勤しむのだそうだ。
ちなみにスキル自体が増える事はなく、また変更することも出来ないのだそう。
ごく稀に、2つのスキルを持つ人間が生まれることもあるらしいが、それこそ天文学的確率。何千年、何億年に一人生まれればいい方なのだという話だ。
だが、それが限界。つまり3つ以上のスキルを同時に所有して生まれることは有り得ない……“誰か”がそうしない限り。
なので、今回はお詫びとして3つのスキルを、しかも自由に選んでよいという二つ目の提案をされた。
流石に貰いすぎだと思いやんわりと断ったのだが、これはお詫びだから。
そういって耳を貸さなかったので、俺はしぶしぶ了承した。
すると、女神はスキルボードなる板を持ってくる。
そこには膨大な量の能力が並んでいた。
俺は最初、攻撃を強化するようなスキルばかりを選んだ。しかし、異世界を満喫するには大きな力は却って邪魔になると思い、なるべく死なないようなスキルを優先することにした──後にそれで苦しむとも知らずに。
そうしてどうにか3つを選び終えると『女神』はスキルの成長度が見えるようなスキルもオマケでつけたと言った。
「ステータス確認」と心の中で唱えればOKらしい。
すると『女神』は突然、俺の頭に手を乗せた。
『それでは、転生……いや、転移を始めましょう』そういうと、よく分からない呪文のような言葉を口にし始める。
すると、見る見る内に俺の身体が透き通っていき、その場から消えていく。痛みはない。
これが転移かと感慨に耽っていると『女神』はおもむろに口を開いた。
『急ぎ足でごめんなさい。そして、本当に申し訳ない事をしてしまいましたが……こうしてあなたに出逢えて良かった』
「死んでしまった事はもう許してますし、むしろここまでしてくれて本当にありがとうございます。異世界に行けるのが今から楽しみです」
『ふふ、良かった。私も本当にたのしみなんです』
そこで『女神』は一呼吸置いてこう言った。
『あなた……いや、私の子がどう這い上がるのかがすごい愉しみ』
どう言う意味かを聞こうとした瞬間、俺の意識はまた途切れた。
♢
俺が目を覚まして最初に見た景色は、高い空。
立ち上がると自分の周りには一面の草花が広がっており、遠くには砦のようなものと大きな門があった。
日本では見ない景色に、俺はテンションが上がりきっていた。そのせいだろうか。転移前のあの『女神』の言葉などすっかり忘れていた。
目を凝らしてよく見ると、門の前に人が見えたので歩を向ける。門の中はどうなっているのだろうか、どういう人達が生活しているのだろうか……とにかくワクワクが止まらない……!
歩はどんどんと早まり、気づけばあっという間に門に到着した。
その門は遠くから見えていただけに近くで見ると尚更大きく、威圧感がすごい。
すると、近くにいた門番らしき男がこちらに近づいてきた。
「ヴァルドダルド国に入国する者か?」
「そ、そうです。中に入りたいんですけど……」
ここはヴァルドダルド国と言うのか。
『女神』に聞いておくべきだったな。
「そうか。では、入国許可証を見せてもらおう」
「え? 入国許可証がいるんですか?」
「もちろんだろう。別の国から出国したのだから、持っていて当然だと思ったのだが?」
まずい……そんなのが必要だとは思いもしなかった……。しかも、これからどうするか逡巡している間に別の門番も来てしまい、俺はますますパニックになる。
「ちなみにお前、本人証明証はもっているか?」
「え……あ、それは……」
「おい、こいつまさかアレか?」
「その可能性があるな」
ドンドンと身分を疑われ、先ほどから冷や汗が止まらない。
これはヤバい展開だ……しょうがない一度出直すか。
「す、すいません。また来ます」
「ちょっと待て。お前名はなんという? 状況によっては通してやらんこともないぞ?」
急にそう言われ、俺は素直に名を答える──いや、答えてしまった。
「
「ほう……そのヤサカと言うのは名字というやつか?」
「そうですが……?」
「なるほど、通っていいぞ」
「え!? ありがとうございます!」
突然の手のひら返しに戸惑いを覚えながらも、俺は感謝を述べると深々とお辞儀をした。
「感謝するのはこちらの方だ」
「……どういうことで……グッ!?」
いきなり後頭部に強い衝撃を受ける。
もしかして、この門番に殴られたのか……俺?
「これでまた仕事が楽になる。ありがとうな『イセカイ』くん」
「『イセカイ』くん……?どう言う意味だ?」
「直に分かる。取り敢えず今はおねんねしとけ」
そして俺はもう1発頭に強い衝撃を受け、今日3度目となる意識を飛ばした。
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