第2話  あの娘との出会い

外の空気を吸うために家から出たものの、行くあてがない。

「はあ、どこ行こう・・・」

学校付近は誰かに会うと気まずいし、田舎にショッピングモールや大きな書店はない。

近所にも小さな書店はあるが、店長はかなりの噂好きだ。

「あの子、学校休んだのに本買ってるわ。」

なんて言われたらたまったもんじゃない。そんなことをあれこれ考えながら適当に歩いていた。しかし、ぱっと周りを見ると知らない道ではないか!

「え、どうしよう。ここどこなのよ?」

引き返そうとして後ろを向くとそこには枝分かれした2つの道が。どちらも通った覚えなどなく、知らない道が永遠と続いていた。

「まずい、もう夕方か。最近は暗くなるの早いなあ。帰らなきゃ。」

太陽はもう向こうの山に半分隠され、茜色の光を放っていた。パチンコで勝利を収めて機嫌のいい父とはいえ、さすがに父の夕飯も作らず外出していたら怒るだろう。

スマホのマップを頼りに帰ろうとポケットに手を突っ込んで驚いた。

「ス、スマホ、ない・・・」

こんな時にスマホを家に忘れるとは・・・バカすぎる。これでもうマップを見ることも、誰かに迎えに来てもらうこともできなくなった。

あまりのショックさにうずくまった。涙をこらえようと必死になる。一人は怖い。


・・・どれくらいの時間ここにいるだろう。もうあたりは暗く、近くに家もない。唯一ある建物として古い小さな祠があったがこれがさらに不気味さを増加させている。


「ねえ、そんなところでなにしているの?」


突然後ろで声がした。びっくりして振り返ると、小さな祠の前に2,3歳ほど年下の女の子がいた。ぼんやりした月明かりに照らされて光るつやつやの黒髪、着古された巫女服、顔には狐の面。 みるからに変な子だ。こんな格好、アニメと漫画でしか見たことがない。しかも、その子は明かりも持っていないのに、その子の周りだけぼんやりと明るい。

「・・・か、神様・・・?」

この子は人間じゃない。直感がそう告げた。しかし、聞いてすぐ、バカげた質問だと思った。

女の子はくすくすと笑って、

「違うよー」

と無邪気に言った。そりゃあそうだ。風邪で頭がぼーっとしているのかもしれない。すると、女の子はこう続けた。

「私は神様じゃあないわ。私は神様の使い、つまり神使しんしだよ。あなたはみさき、だよね?」

「し、神使・・・?」

「うん!」

訳が分からない。それに、なぜ私の名前を知っているのか。 さらに女の子は混乱している私に向かって

「もぅ~、さがすの大変だったんだからね?!」

と言ってほっぺを膨らましている。

さ、さがす・・・?一体どういうことなんだろう。


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