第15話 運命

死後の世界が崩れ落ちる音が響く中、凛とアレクサンダーは最後の戦いに挑んでいた。ヴァルハウスとの戦闘は激しさを増し、時間が経つにつれて、死後の世界の空がさらに歪み、崩壊の速度は加速していく。


「もう、終わりだ。」ヴァルハウスは不敵な笑みを浮かべ、腕を広げた。彼の目には完全なる勝者としての余裕が宿っていた。「お前たちは、もう何もできない。」


凛はその言葉に挑戦的に答える。「まだ、終わらせない。あなたのやり方がどんなに歪んでいても、私はそれを止める。」彼女の言葉には、ただの強さではなく、どこか切羽詰まったものがあった。


アレクサンダーも無言で凛の隣に立ち、再び剣を構える。その瞳に浮かぶ決意の光は、揺るぎなく、すでに覚悟を決めた証だった。


「凛、君が選んだ道は正しい。だが、どんなに努力しても、全ては消える。」アレクサンダーは静かに言った。その目の中には、凛に対する深い愛情とともに、逃れられない運命への諦めが見え隠れしていた。


「それでも、私は……」凛はその言葉を続けようとしたが、突然、ヴァルハウスが高笑いをあげた。


「愚かな者たちよ。」ヴァルハウスの言葉が、死後の世界の空気を震わせる。「お前たちがどんなに抵抗しても、この世界は崩壊する。それが、我々が求めた『真実』だ。」彼の声は、すでに冷徹で無感情だった。


その瞬間、凛の体が一瞬で凍りついた。彼女の目の前で、死後の世界がさらに歪み、周囲の景色が崩れ去り始めた。そして、空が赤く染まり、巨大な亀裂が広がっていく。


「いや……そんな……」凛はその異常な光景を見つめ、背筋を凍らせた。「これは…嘘よ!こんなことが起きるはずない!」


「お前が選んだ道だ。」ヴァルハウスは冷たく言い放った。「お前が命を懸けて挑んだ戦い、その結果がこれだ。」


アレクサンダーがその場で立ちすくむ凛に駆け寄る。「凛!」彼の声には、震えるような不安が混じっていた。「まだ、何か方法があるはずだ!君が選んだ道を、私は信じている!」


だが、ヴァルハウスはその言葉を嘲笑うように響かせた。「方法などない。この世界は、すでに死んでいる。」彼の言葉が終わると同時に、死後の世界が崩れ去り、凛とアレクサンダーの足元に激しい震動が走った。


その瞬間、凛の体が光り輝き、彼女の命が急激に吸い取られていく。まるで時間が巻き戻るように、彼女の身体が透明になり、完全に消失していく様子をアレクサンダーは目の当たりにした。


「凛!」アレクサンダーは必死に彼女の名を呼ぶが、その声は届かない。凛の姿は、完全に消えていった。


アレクサンダーはその場で膝をつき、凛が消えていった場所を見つめた。彼の瞳からは、深い悲しみと絶望がにじみ出ていた。だが、それでも彼は立ち上がり、必死に戦い続けた。


「お前が死んでも、世界は崩壊を止められない。」ヴァルハウスは、冷徹な目でアレクサンダーを見つめた。「全てが消え去り、そして新たな支配者がこの世界を支配する。お前たちのような者が、私に逆らっても無駄だ。」


アレクサンダーは再び剣を握りしめ、その目に力を込めた。「俺が倒す……倒すんだ、お前を!」彼の声は決して揺らがない。だが、心の中では、凛を失った現実が痛みとして突き刺さっていた。


そして、アレクサンダーがヴァルハウスに向かって突進しようとしたその瞬間、死後の世界の崩壊は一気に加速し、アレクサンダーもその圧倒的な力に飲み込まれていった。


「アレクサンダー!」その声が虚しく響く中、彼の体もまた消え失せていく。


死後の世界の崩壊とともに、二人の命も消え去った。それが運命だったのか。それとも、彼らの選んだ道がもたらした必然の結果だったのか。すべての答えは、もう誰にもわからない。


そして、死後の世界はその闇に飲み込まれ、無に帰していった。

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永遠の契約 マジョルカ @majyoruka

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