忘れても
wkwk-0057
桜視点
左手の手首に鉄の感触。
鎖で巻き付けられ身動きが取れない。
私は監禁された。
ある男に。
その男は「君は僕の彼女」とか言う。ストーカーでもある。
窓から日差しが差し込む。私の目には眩しすぎる。もう見れるかどうか分からない蒼い空を目に焼き尽くす。
すると足音が響く。
奴だ。
ドアが開き、私の目の前に座る。
片手にはオムライスがあり、ケチャップでハートが書かれている。それが目に入った瞬間気分が悪くなり、吐きそうになる。
男が
「食べてくれ」
と気味の悪い優しい声で話しかけてくる。
「嫌だ」
と私はそっぽを向きながら答えたが、
「君の体の体調が悪くなるんだよ。食べてくれ」
私の体を思っての事だということはわかったが、犯罪者の作った料理なんか食べたくない。
ど
「1口だけでも食べてくれ」
と男が言った。私は何度も何度も断ったが、男がしつこく言い詰める。
完全に私が折れ、スプーンをオムライスに突き刺しすくい上げる。
口に入れ咀嚼を開始する。
だがとても、とてもまずかった。
「まずい! こんなもん食わせるなんて、あんたどうにかしてるよ!」
「え……」
ここがどこか分からない部屋、ただ日光の光が窓から入ってくる。
唯一の心の拠り所は日光だった。
私の心をなだめてくれる。
暖かい光が私の中に浸透して、そのまま連れていってくれるんじゃないか。
とまで思う。
だけど、彼が何故私を閉じ込めたのか分からない。
私が彼になにかしたのだろうか、それとも、彼が本当にストーカーだったのか……分からない。分かりたくもない。
ただこの生活に終止符が打たれればそれでいい。
お願いです神様。
私を助けて
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