第3話
チン、と控えめになったベルの音に足を踏み出して、辺りを見渡すと目的の部屋はすぐに分かった。
はぁ、と溜息が出てしまうのを、咎める人はいないだろう。
だって、この広いフロアに、玄関のドアが一つしかない。
ペントハウス、ということか。
どうかしているとしか思えない。
だって、この部屋の主は一人暮らしだと聞いている。
一人でこんな広い部屋、お金の無駄遣いではないか、なんて庶民が考えそうなことをそのまま思い浮かべて小さく頭を振る。
いや、それを考えるのがそもそも間違いだ。
元々価値観が違うのだから、分かり合えるはずがない。
自分の中でなんとか折り合いを付けて、そのたった一つだけある玄関の扉に預かっている鍵を手にしながら近づいた。
カチャ、と小さな音がする。
……うん、大丈夫。これは想定内。
スマートキーなんて、決して珍しくはない。
ただ、自分がちょっと慣れないだけで。
再度漏れそうになる息を飲み込んで、鍵を鞄に戻しつつ扉を開けた。
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