第2話

「こんにちは。すみません、私、こういう者ですが」


カウンターの中に立つ品の良さそうな男性に自分の名刺を見せると、彼は納得したように頷いた。


高柳たかやなぎ様にお話は伺っております。私はコンシェルジュの宮川と申します。なにかありましたら、なんなりとお申し付けください」


流石は高級マンションのコンシェルジュ。

住人ではない澪にまで、腰が低い。



「早速ですが、こちらを高柳様へお渡し頂けますでしょうか」


「はい。承知しました」



手渡されたのは、大量のクリーニングされた衣類。


これも今日やらなければならないリストに入っていた事だ。


両手一杯にそれを抱え、宮川さんが呼んでくれたエレベーターに乗り込むと、中には高層階のボタンだけが並んでいた。



なるほど。


高層階専用エレベーターって事か。



そんなところにも生活レベルの違いを感じて、最上階のボタンを押す指が微かに震えた。


エレベーターが目的の階に着くのは思いのほか速かった。

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