第4話大会

王家に最近強いと言われて、なにやらメダルのようなものをもらったと聞いていたのに、思っていたよりもすごく弱いぞ?となっている。


観客達は王家は、まさか賄賂でももらって授けたのだろうかという疑惑を湧き出させる。


「どういうこと。弱すぎる」


「おい、かけていたのに、あっさりし過ぎだぞ」


「金返せ!偽物!」


客の一部がブーイングをする。


コトノスは気にせずに、レフリーを振り返り、勝ったと言われたら直ぐに待合室のある方向へ戻っていった。


「ううっ。ううー」


ロレントが、呻いていた。


聞こえないけれど、呻いていることは仕草でわかる。


体をジタバタさせているけれど、あまりの痛みでろくに動けていないらしい。


「ふふ!ふふふ、見た?あの攻撃。ロレントって弱いのね?あなたの加護で強くなっていただけで、全く強くなろうという気概がないのよね。訓練も最近はサボってたらしくて」


ルルティアイナは、アーミャに笑いかける。


いや、笑いかけているというか、大笑いしていた。


「サボってたんだ?浮気してる暇と時間はあったのにね」


この会場にはおそらく、その浮気相手もいると思う。


サボっていたから、という理由もあるが、九九パーセントの割合で加護による底上げをされていた。


「やっぱり加護ありきでの王家の覚えめでたいことだったのねえ。よくわかるわ。あの弱さ」


クスッと笑うルルティアイナ。


彼女は女神であるだけに、その笑みは華やかだ。


気絶したロレントはブーイングを全身で受けながら、運ばれていく。






コトノスは次の試合も、やはり一方的なものだった。


ルルティアイナとアーミャはそれを見続け、特にアーミャは首を傾げた。


「コトノス、強すぎない?」


「冒険者じゃなくても、強い人なんているでしょう」


女神はころころと笑う。


それをさらに混乱しながら眺める。


どんどん勝ち進む彼。


そして、遂に決勝戦へ進む。


大きな男とマッチングして、それを俊敏さで圧していく。


「す、すごい、勝っちゃった」


大男が膝を着くと、観衆は大盛り上がりで鼓膜が痛む。


痛む場所から離れたい。


耳を塞ぐと、ルルティアイナはにこにこと手をコトノスに振る。


「え、ルル……コトノスと知り合いなの?」


「そうねぇ。ヒントをあげてもいいわ。でも、相手からの言葉に、このことを忘れるかもしれないわね」


アーミャはコトノスが決勝戦の勝者である証、メダルを受け取るのを見届ける。


「ここで、告白したい人がいる!」


「きゃあ、きた、来たわよ」


ルルティアイナが突然叫ぶ。

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